<トランプ再選の見通しが危うくなるなか、中立を強調してきた中国政府の姿勢にもつい本音が> 中国政府の厳しい統制下にある中国国営メディアの編集者が11月5日、アメリカでドナルド・トランプ大統領と次期大統領の座を争うジョー・バイデン前副大統領に関するジョークをツイッターに投稿。中国政府がバイデン米大統領の誕生を期待していることを強く示唆した。 共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙「環球時報」の胡錫進編集長は、あるツイッターユーザーの投稿のスクリーンショットをシェアした。バイデンならば、世界の2大経済大国である中国とアメリカの関係を「正常化」できる可能性がある、と指摘する内容だ。 匿名のユーザーは、「バイデンが米大統領に選出されれば、中国とアメリカの関係は正常化すると確信する。北京はFor-Biden City(バイデン支持の街)だからだ」と書いていた。中国の歴代皇帝が暮らした宮殿(現在は博物館になっている)の「Forbidden City(紫禁城)」を「For-Biden City(バイデン支持の街)」ともじったシャレだ。 From a smart netizen: pic.twitter.com/cUzqXgFaB7— Hu Xijin 胡锡进 (@HuXijin_GT) November 5, 2020 ほかの主要メディアの編集長たちと同じように、胡もこれまで、中国の指導部が米大統領選でどちらの候補を支持しているかについては沈黙を貫いてきた。今回シェアしたツイートの主については、「頭のキレるネット民だ」と称している。 バイデン優勢の報道を受け姿勢に変化が トランプが選挙当日に、民主党が「選挙を盗もうとしている」と主張して物議を醸した時には、胡はツイートで、米大統領選の投票をめぐる混乱は、中国政府にとって「ウィン・ウィン」だと示唆した。 中国が沈黙を貫くなか、有識者たちは習近平国家主席が本心ではどちらの候補を支持しているのかについて、憶測をめぐらせてきた。国際社会での影響力を増大させたい中国にとっては、支離滅裂なトランプ政権があと4年続いた方が有利だという主張もあれば、貿易や台湾をめぐる問題を考えれば、バイデンの方が融通が利くかもしれないという主張もある。 4日の時点では、中国政府は米大統領選について中立の立場を表明。中国外務省の汪文斌報道官は記者会見で、「米大統領選挙はアメリカの内政問題であり、この問題について中国としての立場はない」と述べていた。 だが5日になって、トランプの再選が危うくなっていることが報じられる。AP通信は、大統領選の勝利に必要な選挙人270人のうち、バイデンが既に264人を獲得したと報道。米国内でバイデン優勢の報道が主流になったことを受けて、中国政府の姿勢にもやや変化が生じたようだ。 ===== 中国の楽玉成外務次官は5日の記者会見の中で、米大統領選について質問を受けると、「アメリカの次期政権」とは今よりも協力的な関係構築を期待していると語った。 新華社通信によれば、楽は「中米関係についての中国の立場は、明確であり一貫している」と説明。「両国の間には幾つかの相違があるが、共通の利益があり、協力できる余地もある」と述べ、「二国間関係の健全で着実な発展を維持・促進していくことが、両国の国民の基本的な利益と、国際社会の共通の願いを叶えることにつながる」と主張し、さらにこう続けた。 「アメリカの次期政権には、中国に歩み寄り、衝突や対立をすることなく、互いに尊重し合い、互いの利益のために協力し合って立場の違いを調整しつつ、両国間の関係を正常に発展させていくことを期待している」