<バイデン氏の大統領当選と同時に副大統領就任が決まった民主党のカマラ・ハリス氏ゆかりのインド南部の小さな村では歓喜に沸いた......> 人格形成に影響与えた祖父が生まれた土地 米大統領選でジョー・バイデン氏が当選を確実にしたことを受けて、インド南部の小さな村スラセンドラプランは歓喜に沸いた。ここは、バイデン氏の大統領当選と同時に副大統領就任が決まった民主党のカマラ・ハリス氏ゆかりの地だ。 ハリス氏は、インド出身でがん研究者だった故シャマラ・ゴパラン氏を母親に、そしてジャマイカ出身でスタンフォード大学名誉教授の元経済学者ドナルド・ハリス氏を父親に持つ。両親が離婚して以降はシャマラさんが主に黒人コミュニティの中でハリス氏ら娘を育てたが、インドの親類との関係を強く保ち続けていたという。 インド南部に位置するタミル・ナドゥ州にあるスラセンドラプランは、各紙報道によると人口350人の小さな村だ。ハリス氏の祖父である故P.V.ゴパラン氏は、100年ほど前にこの場所で生まれたという。ハリス氏はこれまでもたびたび、インド政府に仕え、英国からの独立に尽力したゴパラン氏について公の場で口にしていた。 公務員を引退した祖父は、当時小さかったハリス氏の手を引いてチェンナイの海岸を散歩し、かつての同僚たちと民主主義の重要性や権利の平等などといった議論を交わしていた。ハリス氏は2018年、インドの非政府教育組織がニューヨークで行ったイベントでのスピーチでこのときの経験を振り返り、自分の人格形成において非常に大きな影響になったと話している。 まるでヒンズー教最大の祭り 大統領選の投票日だった11月3日以降、スラセンドラプランの人々は固唾をのんで結果を待っていた。ヒンズー教の寺院で祈り、神様の像に花を添えつつ、携帯電話で開票結果をチェックしていたという。 英紙ガーディアンによると、8日の朝になりジョー・バイデン氏当選の一報が報じられると、村では爆竹が鳴らされ、お菓子が振る舞われ、色とりどりの粉を使って女性たちは家の前に英語で「おめでとう、カマラ・ハリス。この村の誇り。ようこそ、アメリカ」などと書いていた。同紙は、ヒンズー教最大のお祭りディワリを1週間前倒しで祝っているかのような雰囲気だと報じた。 スラセンドラプランの中心的な寺院に来た、農業を営むレンガナタンさんはニューヨーク・タイムズ(NYT)に対し、「カマラはこの村の自慢。素晴らしい女性だしインスピレーションでもあります。彼女はこの土地の人なんです」と話した。 またスラセンドラプランのスダカル村議員はガーディアンに対し、「カマラ・ハリスはこの村の娘。子どもから年配者に至るまで私たちひとり一人が、米国副大統領として彼女が宣誓する日を心待ちにしている」と喜びを語った。 ===== 米印関係はどうなる? しかしインドの人たちが米国の大統領選に注視していたのは、ハリス氏が米国初のインド系副大統領になるからというわけではない、とNYTは指摘する。新大統領が誰かによって、インドと米国の関係性が大きく変わるからだ。 米印関係はここ数カ月、軍事面での親密さを増している。きっかけは、今年6月にインドと中国の国境で緊張が走ったことだ。両国の軍が衝突し、インド兵20人以上が死亡した。インドと中国の国境で発砲が起きたのは45年ぶりだという。 これ以降、米印両国は中国をけん制するために、合同軍事演習を重ねてきた(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト)。 こうした関係が、バイデン大統領誕生でどう変わるのかがインドの国民にとって大きな関心ごとなのだ。バイデン氏はオバマ前大統領政権の副大統領時代、米印核合意に尽力したことで知られている。同氏はまた、移民政策をインドに好都合なように大きく変えるとも見られている。 インドの英字紙ザ・ヒンドゥーは、バイデン氏がインド50万人以上を含む1100万人の「滞在許可証を持たない移民」に米国市民権を与えるロードマップを整え、さらにはトランプ政権時代に大幅に縮小されたインドの技術者など高スキル保持者を対象としたビザの発給を増やす予定だとも報じている。こうしたことが実現されれば、インドの労働人口に大きな影響を与えるだろうと同紙は伝えている。 ただし、外交関係の専門家はNYTに対し、バイデン氏とハリス氏のペアはインドに厳しいだろうとの予測を述べている。インドのナレンドラ・モディ首相が取っている国内イスラム教徒への厳しい政策に対し、バイデン氏とハリス氏が批判的な対応をするだろうと見られているのだ。 米タイム誌によると、両氏はこれまでもインドにおける人権侵害を批判する発言をしている。バイデン氏は選挙活動ウェブサイトで、カシミールでの人権回復を実現するためにインド政府は必要な手段をすべて講じる必要があると訴えている。モディ首相がカシミール問題をどう扱うかが、バイデン政権下での米印関係の鍵を握る可能性がある。 ===== 'She's made us proud': Kamala Harris's ancestral village celebrates election win