<国防総省では反トランプ派の幹部がわずか2日間で4人解任・辞任した。安全保障を犠牲にしても、バイデンの政権移行に徹底抗戦する構えか> マーク・エスパー国防長官は9日、ドナルド・トランプのツイートで解任され、ジェームズ・アンダーソン国防副次官(政策担当)は10日にみずから辞任した。この事態を受けて、下院軍事委員会のアダム・スミス委員長は10日、トランプ政権は「混乱と分裂」の種をまき散らしていると述べた。 エスパーの解任とそれに続くアンダーソンの辞任から、今回の大統領選挙でジョー・バイデンに負けたことを断固として認めようとしないトランプ大統領が、自分への忠誠心を示した人々だけで周囲を固めようとしているのではないかと懸念する声は少なくない。 エスパーは今年6月、ジョージ・フロイド殺害事件をきっかけとした人種差別デモの鎮圧に連邦軍を動員しようとしたトランプの方針に公然と反対した。スミスは10日に声明を出し、国防総省の幹部が多数辞めている実態を明かし、このままだと国防総省は「骨抜き」になるかもしれないと述べた。 「ジョー・バイデン(前副大統領)が次期大統領になるやいなや、トランプとトランプ支持派は混乱と分裂の種を蒔き始めた。混乱は国防総省にも達したようだ」 「これが今後の流れの始まりだとすれば、トランプは安全保障の専門家を解任するかやめるように仕向けて、自分により忠実な人間と置き換えるだろう。そして、(大統領就任式までの)今後の70日間はよくて『不安定』、最悪の場合は『危険』な状態になる」と、スミスはつけ加えた。 周囲を忠臣で固めて 国防総省が10日に発表したところでは、ジョセフ・ケルナン国防次官(情報安全保障担当)とエスパーの首席補佐官を務めてきたジェン・スチュワートも10日に辞表を提出した。 アンダーソンの任務を引き継ぐアンソニー・タタは今年7月、もともと国防副次官(政策担当)に指名されていた人物だ。そのときはイスラムに対する嫌悪を示すツイートをしていたことが発覚し、指名が撤回された。 国防総省の動きは、バイデン陣営がホワイトハウスに移行するプロセスを開始しようとする試みを妨げようとするトランプの強い決意を示しているのかもしれない。 トランプ陣営は、郵便投票の取り扱いなどで不正投票があったとして一部の激戦州で訴訟を起こしている。民主党は勝利を自分から「盗もう」としていると主張しているが、こうした主張を裏付ける証拠はまだ出されていない。 ===== ホワイトハウスの動きからすると、バイデン陣営の政権移行は困難なものになりそうだ。トランプは選挙に勝ったのは自分だと主張している。マイク・ポンペオ国務長官は 10日の記者会見で、「トランプ政権2期目への移行は円滑に行われる」と述べた。 バイデンは同日の記者会見で、「トランプ政権にわれわれの勝利を認める能力がないとしても、この流れを変えることはできない」と言った。「われわれは迷わず前進し、われわれの政権を樹立し、閣僚人事を進める」