<とくに若者を怒らせているのは、行動制限に従い失業している若者たちの苦境に目もくれず、感染拡大を助長してきた親世代や政治指導者> 新型コロナウイルス再拡大のさなかにあって、世界中の若者は、年上の世代に対する不満を募らせている。経済は低迷し、機会は失われ、感染予防のための行動制限の保護対象であるはずの中高年は規則に従っていないからだという。 11月17日に発表された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の調査によると、対象となった16歳~30歳までの若者800人以上が、新型コロナウイウルス感染拡大による行動制限と社会のリーダーとしての責任をとらない年長世代に対する怒りを表明した。 収入減少と雇用不安について若者がどう感じているかを探ったこの調査で、多くの若者が、学生ローンの負担、新型コロナ流行による活動制限、親と同居しなければやっていけない18歳~29歳の割合が過去最高という現状に不満と怒りを感じていることが明らかになった。 経済的苦痛に加えて、「誤った考え」をもつ40歳以上の人々が多くの場合、公衆衛生ガイドラインに逆らい、感染を拡大させていると訴える回答者も多かった。 「新型コロナの被害は平等じゃない。1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えたミレニアル世代のほうがつらい部分を引き受けなくてはならない」と、カナダのモントリオール出身のポリーナ・R (30歳)は言う。「私たちが失業したり、貧しくなったりしていることに気づかない人々を守る必要があるの?」 年長世代は責任をとらない FTの調査は「これらの不満は、年長の世代に対する若者の怒りを強め、政治不安を増幅する」と述べている。回答の多くが、無気力、不安、怒り、さらには自殺願望といった感情に支配されていた。「私たちは皆、リーダーシップの危機の責任を負わされている」と、23歳のフランス人男性は嘆いた。 アメリカ、ヨーロッパ、南アジアの回答者は、年配の人々が行動制限に従わないことが感染をさらに悪化させていると述べた。一方で、20代半ばの回答者の多くが、自分もソーシャル・ディスタンスを守らないことで復讐している、と語っている。「(年上の)権力者はこの問題で責任を取ろうとしていない。誰も何もするつもりがないのに、人生を楽しまず我慢するなんて、とんでもない」と、あるモントリオールの女性は語った。 「両親と一緒に家にこもっている間、私はきちんと規則を守った」と、アメリカ人のメアリー・フィネガン (23歳)は言う。「半年もの間、お酒を飲まずに過ごした。デートを再開するためならコロナ感染のリスクを冒してもいい」 経済協力開発機構(OECD)によると、25歳未満の若者は、26歳から64歳までの世代に比べて、パンデミックの結果として職を失う確率が2.5倍高かった。アメリカでは現在、労働力の圧倒的多数を若者が占めているにもかかわらず、ベビーブーム世代がミレニアル世代の10倍の富を支配している。 ===== 新型コロナウイルスの大流行によって、政府に対する幻滅が高まったことも調査で判明した。ミレニアル世代と1996年から2015年の間に生まれたZ世代は、年上の世代よりも自分の国が「制御不能」になっている。政府への信頼は、ほとんどの先進国で史上最低に落ちているという。 イギリスに拠点を置くメンタルヘルス財団とケンブリッジ大学が行った研究は、パンデミックが精神面に与えた影響はウイルスそのものよりも長く後に残ると警告した。世界中の社会でコロナ前からくすぶっていた鬱、孤立、不安の問題は2020年になってさらに悪化している。18~29歳のイギリスとアメリカの調査参加者は、年上の世代に比べてはるかに高いレベルの精神的苦痛を経験している。 「失業、精神衛生上の問題、いつ終わるとも知れないコロナ危機などで、将来に対する絶望がふくらんでいる」と、ロンドン出身のジェームズ(30歳)はFTに語った。