<いまだに大統領選での敗北を認めていないトランプは、中国の軍需企業を禁じるなどぎりぎりまで対中強硬路線を貫く勢い。超えてはならない一線を超えようとした場合、中国は準備ができている> バイデン政権への移行まで2カ月あまりと迫る今、中国政府は、ドナルド・トランプ米大統領による「最後の狂気」に備えていると、中国国営メディアが11月16日付で伝えた。 トランプはホワイトハウスで過ごす最後の10週間を、次期大統領に就任が予定されているジョー・バイデンとその政権チームに対する政治的な罠を仕掛け、米中関係をさらに悪化させることに費やすだろうと、中国共産党の機関紙「人民日報」の姉妹紙「環球時報」は16日付の記事で主張した。 環球時報は、中国共産党の中でも最もタカ派的な見解を代表するメディアだ。トランプが11月12日に行った「反中国」の大統領令への署名を、「トランプ政権が行った最後の狂気の沙汰」と呼んで非難した。 これは、中国の軍需企業31社に対するアメリカ人の投資を禁じて中国軍の近代化を阻止しようとするもの。トランプの任期切れぎりぎりの2021年1月11日に発効する。対象には華為技術(ファーウェイ)や中国電信(チャイナテレコム)も含まれる。 国営メディアの環球時報はこれまでもマイク・ポンペオ米国務長官を繰り返し批判してきたが、同長官による「台湾は中国の一部ではあったことはない」との発言についても、退陣が迫るトランプ政権による「狂気」の一例だと糾弾している。 対中強硬姿勢がレガシー トランプは、11月に一般投票が行われた今回の大統領選挙の結果を認めていない。中国政府に対する厳しい措置を、トランプは自らの「政治的レガシー」のひとつと捉えていると、環球時報は述べた。 環球時報はさらに、トランプは次期民主党政権の「妨害」を狙って、バイデンの前に「さまざまな障害を設けている」と指摘した。前副大統領のバイデンが現行のトランプ政権の政策を、「中国に対して弱腰だ」との印象を与えずに覆すのは難しくなる、と同紙は主張している。 トランプの任期が終わりに近づく中、アメリカが南シナ海において、特に台湾に関する問題に関して「最後のヒステリー」を起こす事態に中国政府は備えていると、国営メディアの環球時報は述べた。 台湾の蔡英文総統はこれまで、トランプ政権から前例のない手厚い支援を享受してきた。閣僚級の政権幹部による初の公式訪問や、数十億ドル規模の武器売却契約などだ。 政権交代までの今後2カ月の間に、台湾海峡の緊張が大幅にエスカレートすることは考えにくい。しかし、中国共産党のメディアであり、習近平国家主席の見解を反映していると見られる環球時報は、米台政府のさらなる「結託」に直面した場合には、中国は軍事的な行動を起こすことも辞さないと警告した。 ===== 「(中国)本土は準備を済ませた。より強力な軍事的圧力を発動し、懲罰を実施することも選択肢の1つだ」と、環球時報は記した。 同紙はさらにこう続けた。「人民解放軍は先ごろ、台湾海峡地域において集中的な軍事実習を行った。その目的の1つは、アメリカの政権移行期における不測の事態に対処することだ。アメリカと台湾島が当方の許容できる限界に抵触したならば、本土は十分に準備を整えた戦闘を開始する用意がある」 大統領選挙で勝ったのはバイデンのほうだと認めて以来、中国国営メディアは、中国政府のアメリカとの関係改善は可能であり、さらにはその可能性が高いとほのめかしてきた。バイデンも多国間主義的な外交方針を掲げている。しかしバイデンが大統領就任した後も、トランプが導入した対中制裁的な政策が新政権の障害となる可能性は高い。 (翻訳:ガリレオ)