<ウイグル族、モンゴル族に続いて朝鮮族も習近平の圧政に苦しめられて──> 近年、中国当局が新疆ウイグル自治区のウイグル族に対し、強制避妊や強制労働をさせていたことが報告され、世界から批判の声があがっている。 また、ウイグル族に対する学校での授業を強制的に中国語に変更させる「言語の同化政策」が進められ、最近ではウイグル族のウイグル語だけでなく、内モンゴル自治区でも学校教育でモンゴル語の使用も大幅に減らされているという。 そして今、この対象が中国にいる朝鮮族にも拡大されている。 中国に存在する少数民族は、1億2000万人といわれ、これは中国の全体人口(約14億人)の8.5%である。2019年の人口調査によれば、中国には五十五の代表的少数民族があり、人口数は、ウイグル族が1007万名、モンゴル族は598万人。そして朝鮮族は183万人だといわれている。 「朝鮮族」と呼ばれる人々は、中国の国籍をもちながら、戸籍の民族欄には「朝鮮」と記載されている人たちのことである。 筆者が学生のころ、大阪のバイト先で朝鮮族の女の子と一緒に働いていたことがある。朝鮮族は吉林州の延辺に多いと聞くが、彼女も延辺出身だった。 彼女の話す朝鮮語は韓国語とイントネーションの違いはもちろん、単語も少しずつ違いがあって興味深かったことを覚えている。 そんな朝鮮族の人たちから言葉が奪われるとは、具体的のどのようなことが行われているのだろうか? 中国は2010年ごろから少数民族に対し、中国語強化政策を開始している。今年、延辺にある朝鮮族学校では、9月からの新学期より、中国教育庁が作った統一教科書の使用が義務化された。 教科書そして試験からハングルを追放へ すべての教科ではなく、まずは中国語文/歴史/政治(日本でいう公民)の科目を、中国の学生と同じ中国語の教科書で教えるという。これらの教科は、これまでハングルで書かれた教科書と朝鮮語を話す先生によって行われてきた。 この変更は、まず高校1年から開始され、来年から高校のその他の学年と、小中学校でも実施が予定されている。加えて2023年からは、これまで少数民族に対して行われてきた入試の特別加算点制度を廃止し、さらに、今回教科書変更が行われた科目、中国語文/歴史/政治については、すべて中国語で試験を受けなくてはならないことが発表された。 高校1年生から教科書の変更が開始されたのは、この入試システム変更のためだろう。しかし、いくら3年間中国語の教科書で勉強したからといって、中国語ネイティブの生徒たちと競うとなると点数の差は出てしまうのではないだろうか。 そうなってくると、子をもつ親としては将来の入試を考え、朝鮮語よりも中国語教育を優先させるようになる。それは、将来的に民族の文化である言語を守っていこうという気持ちが薄れていくことに繋がっていくのではないかと心配されている。 ===== ユネスコは見て見ぬふり? 中国語教科書への変更が発表されて以降、この制度へ反対の声を上げた人たちもいる。韓国の活動団体「サイバー外交使節団バンク」は、全世界に約4億人の会員をもつアメリカのオンライン請願サイトchange.orgへ請願提出し、外国人へアプローチする作戦に出た。 さらに、バンクは、国連の教育科学文化機関(ユネスコ)に対し、中国の少数民族教育政策について、もっと声を上げるべきだと要求している。 バンクの主張によると、ユネスコは分担金を一番多く拠出している中国政府に忖度して、少数民族への言語の同化政策について見て見ぬふりをしているという。 モンゴル族も米国で世論に訴え 一方で、モンゴル族の人々も自分たちのアイデンティティである言語の消滅を危惧し、立ち上がっている。今年9月、米国ホワイトハウスのオンライン請願サイトに「Stop the CCP's cultural genocide in Inner Mongolia(中国共産党による、内モンゴル地区での文化虐殺を中断せよ)」というタイトルの請願がアップされた。 そこには、「私たちモンゴル族は、米連邦政府が議会で、この問題に対する法律を制定するように要求します」と書かれている。この請願は9月7日に掲載され、その15日後にはすでに10万人以上の賛同を得ることに成功した。 また、中国国内でも、モンゴル族によるデモも行われたが、その際には130人の逮捕者を出す結果となってしまった。 少数民族の人々にとって言語は誇りであり、先祖と自分を繋げる大事な宝物である。今回のように、これまであった選択肢を取り上げてしまう政策は行うべきではない。自分が何語を使うか、勉強するかは本来自由であり、それを奪うということは、言語という文化を抹殺する暴挙だ。 ===== ソウルでも朝鮮族が抗議 少数ながら韓国国内にも中国国籍の朝鮮族の人びとがいる。彼らも今回の中国の暴挙に抗議デモを行った。 NTD Korea / YouTube