<自慢の新型コロナウイルスワクチンを自分は接種しない矛盾> ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、同国が開発を進めている新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の接種を受ける予定はないとロシア政府報道官が発言した。ブルームバーグ・ポリティクスが11月24日に報じたところによれば、大統領報道官で大統領府副長官のドミトリー・ペスコフは記者団に対し、開発途中のワクチンを大統領に接種することは「あり得ない」と話したという。 ペスコフは、ロシアで最も開発が進んでいるスプートニクVの接種をすでに受けた約2万人のなかにプーチンも含まれているのかと聞かれ、「国内ではまだ大規模なワクチン接種は始まっていない。国家元首がみずから志願してワクチン接種に参加することはできない」と説明した。「それはあり得ない」とペスコフは続けた。「(安全性が)保証されていないワクチンを大統領が使用することはできない」 プーチンとロシア政府、さらにロシア保健省はこの数カ月、スプートニクVの効果と安全性を強調してきた。11月24日にも、ロシア直接投資基金(RDIR)のキリル・ドミトリエフ総裁が記者会見で「(海外向けの)第3相臨床試験で90%を超える有効率が確認されたワクチン」で、しかも最も安価だとスプートニクVの優位性を強調した。対するペスコフは、現時点におけるスプートニクVの限界を認めた格好だ。新型コロナウイルス感染症を予防するワクチンの開発を各国の研究者が競い合うなかで、安全性と有効性は大きな懸念材料となっている。 8月には国内承認 ロシア政府関係者は、同国が開発しているワクチンには安全性と有効性の両方が備わっていると述べているが、プーチンが8月にスプートニクVの国内使用を承認したのはあまりに性急過ぎると世界中の医療専門家が疑念や懸念を示していた。 承認時点でロシアの保健当局は、少数の人に対する初期段階の臨床試験などを経ただけだった。この承認により、2021年はじめまで続く予定の「承認後」試験を実施しながら、医療従事者などのリスクの高い人にこのワクチンを接種できるようになった。 スプートニクV開発の関係者は11月24日、2回の接種を必要とするこのワクチンのフェーズ3臨床試験への参加を志願した計4万人のうち、半数以上が1回目の接種を受け、1万9000人が1回目と2回目の接種を受けたことを明らかにした。関係者によれば、治験中に「予想外の有害事象」は発生せず、28日後に実施した分析では91.4%の有効率が示されたという。 スプートニクVはまだ、大規模な接種を可能にする正式な承認を受けていない。11月19日には、世界保健機関(WHO)のロシア代表メリタ・ヴイノビッチの談話として、スプートニクVを開発する製薬会社がWHOに承認を申請したと報じられた。 ===== スプートニクVは、ロシアが現在開発を進めている3種類の新型コロナウイルスワクチンのひとつだ。「エピワクコロナ」と呼ばれる第2の候補は、10月に予備的な承認を受けた。プーチンは11月21日、オンラインで開催されたG20首脳会議において、世界の首脳たちに向けて、自国だけでなくほかの国の人々にもロシアのワクチンを提供するつもりだと表明した。 「ロシアは、我が国の研究者が開発したワクチンを、必要とする国々に提供する用意がある」とプーチンは話した。「ヒトアデノウイルスベクターのプラットフォームにもとづいた、世界で最初に承認されたスプートニクVワクチンのことだ。第2のロシア製ワクチンとしては、ノボシビルスクの研究センターで開発されているエピワクコロナも用意している。第3のロシア製ワクチンも進行中だ」 ロシアは、3月に国内最初の感染者が報告されて以来、世界でも多い水準で感染者が確認されている。11月24日午後現在、陽性と確認された人はロシア全体で210万人を超え、死者は少なくとも3万6675人にのぼった。アメリカ、インド、ブラジル、フランスに次ぐ多さだ。 (翻訳:ガリレオ)