<バイデンもできてしまったものを壊す気はないようだが、地元からは税金の無駄遣いだと批判の声> ドナルド・トランプ大統領は、不法移民の取り締まり強化を2016年大統領選の焦点とし、不法に国境を越えてアメリカに流入する移民を阻止するためメキシコとの国境沿いに「大きく、美しい壁」を建設することを誓った。 ところがジョー・バイデンが来年1月に大統領に就任する運びとなったため、国土安全保障省(DHS)と税関・国境取締局(CBP)は、国境に全長724.2 キロ(450マイル)の壁を築くというトランプの公約を年末までに果たそうと全力で取り組んでいる。 CBPによると、11月16日の時点ですでに647キロが完成した。 10月下旬、CBPは、建設済みの壁が644 キロ(400マイル)の節目に達したことを祝い、週に約16キロ(10マイル)ずつ新しい壁が建設されていると発表した。 「国境の壁は、トランプ政権が国境警備に真剣に取り組んでいることを示す第一の証拠だ」と、CBPのマーク・モーガン局長代理は述べた。 「この壁はアメリカ人の命を救うだろう。地面からそびえたつコンクリートと鋼が、わが国に入ろうとする危険な人々と、命を奪う薬物を阻止する」 コスト高の僻地でも建設 だがニューヨーク・タイムズ(NYT)の最近の報道によれば、これまでに建設された647 キロの壁のうち、一から建設した部分は約40キロ分にすぎない。それ以外は老朽化したり、車両用の障壁しかなかった部分を改築した。 バイデンは「国境の壁」建設を中止すると言っているが、次期大統領が重視しているのは、トランプの看板プロジェクトを解体することではなく、入国禁止の終了や亡命受け入れ制限の緩和などの移民政策に関わる問題だとNYTは報じている。 バイデンの政権移行チームの一部顧問はNYTに対し、既存の壁を破壊する可能性を否定した。 NYTによれば、現在進行中のグアダルーペ渓谷での壁建設は、コストが非常に高い。希少な鳥類の生息地で、地元の牧畜業者に言わせれば、人里離れているため不法な国境越えはめったに起きない地域だ。 陸軍工兵部隊のジェイ・フィールド広報官は、この渓谷の「難易度の高い」地形で壁を建設するコストは1.6キロ(1マイル)あたり約4100万ドルかかると語った。 それは、今年発表されたCBPの報告書に掲載されている壁の1マイルあたりの平均コストの2倍以上の金額だ。 ===== エンジニアリング関係の報告書によると、テキサス州を流れるリオグランデ川の岸に沿って最近建設された国境の壁の4.8キロのセクションは、すでに崩壊の危険性があるという。 アメリカ南部の国境付近の生活改善を目指す組織の集合体サザンボーダー・コミュニティ連合を率いるヴィッキー・ゴーベカは、国境の壁は「莫大な税金の無駄遣い」だと語った。 「トランプの虚栄の壁は納税者の金の途方もない無駄遣いだ。私たちが住む土地の環境に深刻な害を与え、絶滅危惧種が絶滅する可能性をさらに高め、危険がいっぱいの僻地から国境を越えようとして死の危険にさらされる人を増やしている」と、ゴーベカはツイートしている。