<デンマーク政府は、国内で飼育されているすべてのミンクを殺処分する方針を示したが、ミンクの脱走によって、新型コロナウイルスが野生動物に広がるリスクが懸念されている...... > デンマークでは、2020年11月、家畜のミンクからヒトに感染した新型コロナウイルスの変異株が確認された。この変異株には新型コロナウイルスの抗体をつくる能力を弱める作用があることから、デンマーク政府は、国内で飼育されているすべてのミンクを殺処分する方針を示し、デンマーク議会もこれを支持している。 殺処分の対象となるのは最大1700万匹で、11月末時点で1000万匹が殺処分された一方、残りの500万〜700万匹は販売されるとみられる。 新型コロナに感染した100〜150匹のミンクが野生化する可能性がある 飼育場では、ミンクがたびたび脱走し、野生化している。デンマーク獣医食糧衛生局のステン・モーテンセン博士は、英紙ガーディアンの取材に対し、「ミンクは外来生物であり、狩猟家が毎年、数千匹の野生のミンクを捕らえていることから、デンマークでは毎年、2000〜3000匹のミンクが飼育場から脱走していることがわかっている」と述べている。 デンマークでは、ミンクの脱走によって、新型コロナウイルスが野生動物に広がるリスクが懸念されている。モーテンセン博士によれば、飼育場から脱走したミンクの約5%が新型コロナウイルスに感染しているおそれがあるという。 つまり、新型コロナウイルスに感染した100〜150匹のミンクが野生化する可能性があるわけだ。ミンクは、通常、新型コロナウイルス感染症を発症しても生命にかかわることはなく、やがて回復する。数日間、呼吸困難になるケースもあるが、ほとんどは回復して免疫を獲得する。 ウイルスが一度、野生に侵入すると、制御することは極めて困難になる ミンクは単独行動をする動物であるため、脱走したミンクが他の動物に新型コロナウイルスを感染させるリスクは低いが、新型コロナウイルスに感染したミンクを食べたり、その糞便に接触することで、フェレット、タヌキなどの野生動物やネコなどのペットが感染する可能性はある。 新型コロナウイルスが野生動物に広がるリスクは、他国の学者からも指摘されている。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の微生物学者ジョアン・サンティーニ教授は、「ウイルスが一度、野生に侵入すると、野生動物の間で感染が広がり、やがてヒトに戻ってくるのを制御することは、極めて困難になる」と警鐘を鳴らす。ウイルスは、野生に侵入することで宿主範囲を広げ、通常であれば感染しえない他の種の動物にまで感染するおそれがある。 ===== 野生化したイタチやタヌキ、カワウソなどに伝播し続けるおそれ 蘭エラスムス・ロッテルダム大学(EUR)のウイルス学者マリオン・クープマンス教授も同様の懸念を示す。ガーディアンのメール取材に対して、「新型コロナウイルスは、大規模農場内で循環したり、ここから脱走して野生化したイタチやタヌキ、カワウソ、フェレット、テン、ミンク、クズリなどの野生動物に伝播し続けるおそれがある」とし、「鳥インフルエンザや豚インフルエンザと同様に、新型コロナウイルスは、理論上、宿主となる動物で進化し続け、人間と動物にパンデミックの脅威を恒久的にもたらす」と警告している。 ミンクへの新型コロナウイルスの感染は、これまでに、デンマークの他、スペインやオランダ、スウェーデン、米国のオレゴン州でも確認されている。 Coronavirus: Should we be worried about Denmark's COVID-19 mutation in mink?