<「何千人もの若い活動家がこれからどんな目に遭うかを想像すると、胸が張り裂けそうだ」と、指名手配中で米在住の活動家、朱牧民は言う> 中国政府が香港の民主派への締め付けを強めるなか、抗議運動を扇動したとして著名な活動家3人に量刑が言い渡され、香港の民主派と国際的な人権団体が批判の声を上げている。 3人の活動家は24歳の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、23歳の周庭(アグネス・チョウ)、26歳の林郎彦(アイバン・ラム)。昨年6月に「逃亡犯条例」改正案に抗議して、警察本部の包囲を呼びかけた罪などに問われ、今年11月23日に有罪が確定。12月2日にそれぞれ13カ月半、10カ月、7カ月の量刑が言い渡された。 中国による政治的・法的な統制強化に抗議して昨年夏に香港で大規模なデモが起きて以降、民主派の活動家が執行猶予なしの禁固刑に処せられるのはこれが初めてだ。 3人とも裁判で罪を認めたとされている。量刑判決が下る前から裁判所前には100人程の支持者が結集。それより数は少ないものの中国寄りの一派も集まり、重い刑罰を科せと叫ぶなど、騒然とした雰囲気になっていた。 量刑判決を受けて、香港の民主派と国際的な人権団体はすぐさま非難声明を出した。中国共産党は、香港の民主派の合法的な政治活動をつぶし、1997年にイギリスから香港が返還された際の取り決めである「一国二制度」を踏みにじって、香港の高度な自治を奪おうとしている、今回の動きもその一環にほかならない、というのだ。 獄中での処遇を危惧 アメリカに拠点を置くNGO「香港民主委員会」の朱牧民(サミュエル・チュー)代表は本誌に宛てた声明で、「中国政府と香港の林鄭月蛾(キャリー・ラム)行政長官は、見せしめのために裁判を利用している」と指摘した。「『服従するか、さもなければ青春の一番楽しい時期を獄中で過ごすことになるぞ』というメッセージを出しているのだ」 さらに朱はこう続ける。「中国共産党は、(香港に対する)支配と権力の行使を維持するためには、香港の一世代をまるごと投獄し、抹殺することも厭わない。いや、むしろ進んでそうするだろう。この3人、そして何千人もの若い活動家がこれからどんな目に遭うかを想像すると、胸が張り裂けそうで、激しい怒りに駆られる」 香港駐留の人民解放軍部隊が公開した暴動鎮圧演習 朱は、量刑判決を受ける前から独房に入れられていた黄の獄中書簡を引用して、こうも述べた。「黄が今週、刑務所から書き送ってきたように、『魂を檻に閉じ込めることはできない』。活動家が逮捕され、有罪となり、収監されるたびに、運動はますます強固になる。香港民主委員会は厳しい量刑に強く抗議する。そしてアメリカと国際社会にも抗議の声を上げるよう働きかけていく」 黄、周と共に既に解散した民主派組織「香港衆志」を設立し、主席を務めていた羅冠聡(ネイサン・ロー)は本誌に今回の判決は「酷過ぎる」と語った。 羅は、今夏「香港国家安全維持法(国安法)」が施行された後、香港を出て、今はロンドンに滞在している。同法に基づけば、反政府的な動きは犯罪とみなされ、違反した場合は最高で終身刑に処せられる。 ===== 「(黄らに対する禁固刑は)異常に重い刑であり、司法の独立が脅かされた疑いがある」と、羅は語った。「裁判所はまたもや当局の好む弾圧のツールとなったようだ。当局は見せしめのために著名な活動家を収監するつもりだったのだろう」 周は外国の勢力と結託して国家の安全を脅かしたとして、国安法違反の罪にも問われている。つまり、終身刑になる可能性もある、ということだ。周は今年6月に本誌の取材に応じ、「これほど強力で絶大な権力を持つ体制と闘うのは決して容易ではないが、私は香港にとどまり、活動を続けたい」と話した。「これが私たちの最後の闘いになるかもしれない」 国安法の適用範囲は非常に広いため、周だけでなく、黄と林も今後ほかの罪で起訴される可能性がある。香港の裁判所は抗議デモ関連で今や処理しきれないほど多くの訴訟を抱えている。「判決が山積みになるだろう」と、羅は言う。「正直なところ3人がいつ出所できるか予想もつかない」 羅が願うのは、「国際社会が不公正な判決を批判する声を上げ、3人の即時釈放を求めること」だ。「量刑判決を受けた後、黄が(弁護士を通じて)宣言したように、これが闘いの終わりではない。それぞれの持ち場で、粘り強く抵抗することだ。(国際社会は)今こそ香港のために声を上げてほしい」 「次はお前の番だ」 人権団体も中国による香港の民主派弾圧を問題視している。アムネスティ・インターナショナルのアジア太平洋地域ディレクター、ヤミニ・ミシュラは声明を発表、「3 人はただ抗議の声を上げ、平和的なデモを行っただけなのに、当局はまたもや政治的な動機から(国安法を)利用し、彼らに『反政府的な運動に他者を扇動した』罪を着せた」と糾弾した。 「香港の抗議運動は総じて指導者のいない自発的な運動だが、当局はよく知られた活動家を標的にすることで、誰であれ公然と政府を批判する人に警告を発しようとしている。『次はお前の番だぞ』と」 ===== 香港駐留の人民解放軍部隊が公開した暴動鎮圧演習