<小型の爬虫類には、再生能力があることは知られているが、ワニの大型種アリゲーターにも、このような再生能力が備わっていることが明らかとなった......> トカゲやヤモリなどの小型の爬虫類には、外敵から身を守るために尾を切り離して逃避する「自切」がみられ、欠損した部分はやがて再生する。このほど、ワニの大型種アリゲーターにも、このような再生能力が備わっていることが明らかとなった。 体長の約18%相当まで尾の再生能力があった 米アリゾナ州立大学(ASU)とルイジアナ州野生生物漁業局(LDWF)の共同研究チームは、体長が14フィート(約426センチ)にも達するアメリカアリゲーター(ミシシッピワニ)の尾の再生能力について調べ、2020年11月18日、オープンアクセスジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」で一連の研究成果を発表した。 これによると、若いアメリカアリゲーターには、最大で体長の約18%に相当する0.75フィート(約23センチ)まで尾を再生する能力があることがわかった。研究チームは「尾の再生能力のおかげで、アメリカアリゲーターは濁った沼のような環境でも生息しやすいのではないか」と考察している。 Alexander Morales-iStock 研究チームは、死後間もない野生の若いアメリカアリゲーターを解剖するとともに、レントゲン写真やMRI(磁気共鳴画像)の画像で再生した尾の構造を調べた。その結果、再生した尾には骨格筋がなく、軟骨でできた骨格が血管や神経と絡み合った結合組織で囲まれるという複雑な構造になっていた。 元の尾と再生された尾の解剖学的な違い (アリゾナ州立大学) トカゲの尾は骨格筋が再生されるが...... 研究論文の筆頭著者でアリゾナ州立大学の博士課程に在籍するシンディー・シー氏は、この結果について「軟骨や血管、神経、鱗片が再生する点ではトカゲの尾の再生に関する過去の研究結果とも一致しているが、トカゲの尾は骨格筋が再生されるのに対して、アメリカアリゲーターでは骨格筋が再生されず、結合組織がこれを代替しているのは意外であった」としている。また、「アメリカアリゲーターでは、再成長した尾が同じ構造内で再生と創傷治癒の両方の兆候を示している」、「今後の研究では、なぜ爬虫類のそれぞれの種で再生能力が異なっているのかを解明することが重要だ」と述べている。 アリゲーター、トカゲ、ヒトはいずれも、脊椎動物のうちの有羊膜類に属する。トカゲだけでなく、アメリカンアリゲーターにも大きく複雑な尾を再生する能力があることが明らかとなったことで、再生能力の歴史のさらなる解明やその将来的な応用可能性を探る手がかりとなることが期待されている。 新たな治療法の開発、再生医療の発展にもつながる...... 研究論文の責任著者でアリゾナ州立大学のクスミ・ケンロウ教授は「アリゲーターと鳥の祖先は恐竜から約2億5000万年前に分岐した。鳥には再生能力がない一方、アリゲーターが尾を再生する能力を持つことは、『進化の過程でいつ再生能力が失われたのか』という新たな問いを投げかけている」と指摘。 また、研究論文の共同著者でアリゾナ州立大学のレベッカ・フィッシャー教授は「それぞれの動物が組織をどのように修復・再生しているのかを解明することで、新たな治療法の開発にもつながるだろう」と述べ、再生医療の発展にも寄与するのではないかと期待を寄せている。