<イギリスで新型コロナウイルスのワクチン接種を開始した。安全性を示し接種を促す目的で、ライブ中継を行うテレビカメラを前に、ジョンソン首相自らが接種を受ける可能性が浮上している......> 英5人に1人は新型コロナ・ワクチンに懐疑的 英国政府は2日、米ファイザーと独ビオンテックが共同で開発した新型コロナウイルスのワクチンを承認したが、8日にも接種を開始した。ボリス・ジョンソン首相は2日の記者会見で、「英国史上最大の規模となる集団接種」と表現した。 英政府は、ファイザーおよびビオンテックのワクチンを米国に先駆け世界で初めて承認し、接種を開始した。ファイザーによるとワクチンの有効性は90%以上だ。このワクチンはマイナス70度で保存しなければならず、効果を発揮するには、3週間開けて2度の接種が必要となる。英国は現在のところ2000万人分、4000万本のワクチンを注文している。 しかしワクチンの安全性に不安を抱く国民は少なくなく、反ワクチン運動も展開されている。 英調査会社ユーガブが3日、ファイザー/ビオンテック製のワクチンについて成人5351人を対象に行った調査では、「非常に安全だと思う」と答えた人は27%だった。「おそらく安全だと思う」と回答した人がもっとも多く、43%だった。とはいえ、「あまり安全とは思わない」(11%)と「まったく安全とは思わない」(9%)は合わせて20%となり、5人に1人はワクチンに懐疑的という結果になった。 ワクチン承認前の11月に英民放テレビ局ITVが行った同様の調査(成人2090人)では、接種が任意であった場合、受けないと回答した人は23%おり、まだ決めていないと答えた人は10%だった。受けないと回答したのは若い人たちが多く、18〜34歳では31%に上った。受けない理由としてもっとも多かったのが、「副作用があるかもしれないから」で44%。「製薬会社を信用していないから」と回答した人は31%だった。 首相が生中継でワクチン接種もあり? こうした状況の中、いかにして国民にワクチン接種を受けてもらうかが課題となりそうだ。そこで、安全性を示し接種を促す目的で、ライブ中継を行うテレビカメラを前に、ジョンソン首相自らが接種を受ける可能性が浮上している。 ロイター通信によると、「首相はテレビの生中継でワクチン接種をするか」と記者から聞かれた首相報道官のアレグラ・ストラットン氏は2日、「本人に直接聞いたことはない」としながらも、「首相が拒否しそうな話ではないと思う」と答えた。 ===== とはいえ、英政府はワクチン接種を受ける優先順位として、老人ホームの住人、医療従事者、高齢者、健康面で深刻な問題を抱えている人としている。そのためストラットン氏は、こうした人たちよりも先にジョンソン首相が接種を受けることはないとの考えを示した。さらに、94歳のエリザベス女王が受けるか否かによるとも加えた。 ただし、ロイター通信が女王のワクチン接種についてバッキンガム宮殿に問い合わせたところ、広報担当者は王室の医療に関する問題は伝統的に非公開であるとして回答を差し控えたという。 一方で英紙タイムズは6日、王室関係者の話として、女王とフィリップ殿下(99)がワクチンを受けた際には、「その事実を公表する」可能性があると報じた。王室のこの動きは反ワクチン運動への強力な対抗措置になるだろうと同紙はみている。 米でも元大統領らが公開接種に名乗り 米国でも似たような動きが見られる。米国でワクチンが承認された際には、その安全性を示すために、バラク・オバマ前大統領、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ビル・クリントン元大統領がテレビの前で接種すると名乗り出たのだ。 米CNNによると、オバマ前大統領はラジオ局シリウスXMに出演。米国では過去に、黒人男性を人体実験とした「タスキギー梅毒実験」が行われた歴史があり、黒人コミュニティの間では医療制度への不信感がぬぐい切れていない。 司会者のジョー・マディソン氏はこの実験に言及した上で、「あなたならワクチンを受けますか?」とオバマ氏に質問した。同氏は、「アンソニー・ファウチ(米国立アレルギー感染症研究所長)がこのワクチンを安全だというなら彼を信じる」と話した。 オバマ氏はさらに、「リスクが低い人が受けられる段階になったら自分も受ける」と話し、ワクチンの安全性を国民に示すためであれば、「テレビに出演または撮影してもらうかもしれない」と話した。 また、ブッシュおよびクリントン両元大統領も、自分が受けられる段階になったら、国民にワクチン接種を促すために喜んで「公開接種」を受けると側近を通じて意思を示しているという。