<今日は「モッパン」で「ギョプる!」 日本でもイギリスでもなぜか韓国の食関連のワードが流行語に> 今年も年末恒例の日本流行語大賞が発表され注目を集めた。誰もが予想したように、2020年は「コロナ関係」一色になると思われたが、なんと韓国発祥の流行語が2つもノミネートされたことも話題となった。 『愛の不時着』は、Netflixで配信され爆発的人気を博したドラマであり、コロナによる巣ごもり生活が後押しして大ヒット、流行語大賞トップ10入りを果たした。 そしてもう1つの流行語「NiziU」は、韓国のプロデューサーJYPが手掛ける日本人アイドルグループだ。12月2日に正式デビューとなったが、それに先立ち紅白歌合戦出場が決定。新人がデビュー1カ月以内での紅白出場は史上最速ということで大きな話題を呼んだ。 ほかにも、今年大流行した韓国関係のワードと言えば、自粛生活の暇つぶしから誕生した「ダルゴナコーヒー」。韓国の豚焼肉料理サムギョプサルを食べる意味の「ギョプる」。TikTokからバスって広まった、なんでも韓国語っぽくしてしまう語尾「〜ニダ」。このように若者を中心に多くの韓国系流行語が誕生した。 イギリスで流行語に選ばれた「モッパン」 このように、日韓関係は冷え込んでいると言われているものの、韓国文化や韓国語はすっかり日本で馴染みが深くなっている。そして、この現象は、日本だけではない。K-POPや韓国ドラマ/映画が世界中に広まると同時に、韓国語も翻訳されずそのままの発音で世界へ浸透しつつある。 先月10日、イギリスのCollins English Dictionaryが選ぶ今年の流行語大賞が発表された。1位は予想通りコロナ関連で「ロックダウンlockdown」だった。他にも「ソーシャルディスタンスsocial distancing」「コロナウィルスcoronavirus」などの単語が並ぶなか、トップ10になんと韓国語の「モッパンmukbang」がランクインして話題となった。BBCニュースでは、「モッパンはすでにテクォンドと並ぶメジャーな単語だ」と報道している。 料理名や人名、スポーツなどの名称が、そのまま自国の発音で海外に定着することはよく目にするが、この話題の単語「モッパン」とは一体何なのかご存じだろうか? モッパン(먹방)は、「먹는(食べる)방송(放送)」を略した造語である。2009年ごろ韓国の動画配信を中心にこの単語が使われだし、2010年後半には世界中に広まった。2016年10月にはCNNが「新しいsocial eatingの形」とモッパンを紹介し、その後欧米でも徐々に浸透していった。 動画の内容は、配信者がカメラの前で美味しそうに食事をする姿を放送したものであり、ユーチューブや、韓国で人気のアフリカTVなどの動画配信サイトで多く見られる。 ===== 韓国政府が禁止する動きまで 日本では、大食いなどの食事風景を配信するユーチューバーが多いが、モッパンは必ずしも大食いだけではない。おいしそうに食事を取るだけの映像もモッパンのカテゴリーに含まれている。最近では、配信者が料理をしてそれを食べるまでの動画も登場し、これはクッキング放送を略して「クッパン」と呼ばれているそうだ。 韓国では、「お元気ですか?」の代わりに「ご飯食べましたか?」いう挨拶が交わされるほど食文化が重要視されている。その流れで、人がおいしそうにご飯を食べる姿を見るのも大好きなのだろう。韓国人動画配信者が多いアフリカTVでは、一時期アップロードされる動画の10~15%をモッパンコンテンツが占めるほどの人気だったという。 あまりにも人気が急上昇したためか、2018年7月韓国政府は「国家肥満管理総合対策(2018∼2022)」を発表する際、「暴食の診断基準を作り、暴食を助長させるようなメディア(TV、インターネット放送など)及び広告に対するガイドラインを設ける」と発表した。いわゆる「モッパン規制」だ。これには、ネットを中心に多くの反発の声があがり、政府公式HPの設けられた国民請願にもすぐさま40件以上の抗議の請願が投稿され話題となった。 ちなみに、今年突然「モッパン規制」を開始した国がある。それが中国だ。中国は今夏8月から習近平国家主席の指示の下、モッパン規制キャンペーンを始めた。しかし、これは韓国のように肥満防止のためではなく、近年中国で増加している食品ロスの深刻化を食い止めるためのものだという。 人気モッパンスターに炎上騒ぎ モッパンが国内外から注目を集めだすと、韓国内で続々と「モッパンスター」たちが登場しだした。フォロワー数の多いモッパン配信者は、タレント並みの人気をもち、食レポなどでTVに登場することもある。 ところが、今年に入りそんなモッパンスターたちの「案件隠し」が続々と明るみになり炎上し始めた。案件隠しとは裏広告とも呼ばれ、企業から広告費を貰っていながら、それを隠して動画を配信し、あたかも自分が好んで食べたり愛用したりしている商品かのように紹介することである。 280万人のフォロワー数を持つ「ツヤン」さんは、モッパンスターとして有名だったが、今年8月に裏広告が発覚し、その後活動自粛にまで追い込まれた。 さらに、フォロワー数475万人を超え、年間収入140万ドルを稼いでいた「ムン・ボクヒ」さんも、ツヤンさん同様と同時期の8月に裏広告が発覚した。そのうえ、大食いが持ち味だったムン・ボクヒさんだったが、実は食べた振りをして吐き出しているのではないかという疑惑までもち上がり、その後活動を自粛していた。ちなみに、二人とも3カ月後にユーチューブに動画を上げ活動を再開している。 10月には400万人のフォロワー数を持っていた男性モッパンスター「ボギョム」さんも、チキン屋さんとの裏広告が発覚し批判の的となった。裏広告疑惑は、モッパンチャンネルだけでなく、韓国の配信コンテンツ全体で大きな問題となっている。 同じ釜のメシを食べるイメージのモッパン 人がおいしそうにご飯を食べている姿は見ていて楽しく癒しを与えてくれる。これは万国共通のようだ。特に今年のように自粛生活が長く続き、人と会わずひとりでご飯を食べるときなど、モッパンを見ていると誰かと一緒にご飯を食べている気分になる。 よく、食=人とのつながり/コミュニケーションと言われるが、それが断たれてしまった今年、新たに注目を集めたKカルチャー「モッパン」が世界の人々の寂しさを埋める救世主の役割を担ったのかもしれない。 ===== ムン・ボクヒさんの辛い骨無しチキンと、まろやかなカルボプルダックポックンミョンのモッパン 空腹時にご覧になるのはご注意ください 문복희 Eat with Boki / YouTube 裏広告で自粛明け後、ファンのためにボランティアも 鯛焼き屋を営む女性ファンのサポートをするツヤンさん tzuyang資陽 / YouTube K-POPスターもモッパン人気を煽る トップK-POP女性グループ、MAMAMOOのメンバー、ファサはテレビバラエティ『私は一人で暮らす』での豪快な食べっぷりで一躍人気者に。 MBCentertainment / YouTube