<「ファクトチェック・ニュース」という名前のサイトまである、コロナ禍と米大統領選のデマを載せた135のサイト。その大半ではユーザー離れが起きているが、政治サイトのいくつかは......> 大きなデマを発信したら、ついでに別の大きなデマも流してしまえということだろうか。ネット上の情報の信頼性を評価するニューズガード(筆者はそのスタッフ)が、今回の米大統領選について重大な偽情報を掲載していると判定した135件のサイトのうち、63%に当たる85件は新型コロナウイルスに関するデマも発信していた。 懸念すべき事態だが、驚くことではない。こうしたサイトの大半は、米大統領選と新型コロナ流行の前から陰謀論やデマを垂れ流していた。9.11米同時多発テロや新型コロナのワクチンなどに関するデマや陰謀論の発信元としておなじみのものもある。 デマの発信元は、これらのサイトだけではない。世界は爬虫類型宇宙人に支配されていると唱えるイギリスの元サッカー選手デービッド・アイクは、自身のウェブサイトで「ウイルスは存在しない」という持論を展開。米大統領選では「スコアカード」というプログラムによる票の改ざんによって民主党候補のジョー・バイデンに有利な結果が出たと主張している。 人気健康サイトの「ナチュラルニュース・ドットコム」は、「ファクトチェック・ニュース」といった誤解を招く名前のサイトを集めたネットワーク。このサイト群は製薬会社のファイザーやモデルナがワクチン開発に成功したと発表するはるか前から、新型コロナやワクチンに関するデマを広めてきた。 リテラシーは高まっても こうしたサイトの中には多くのユーザー数を誇るものもあるが、ここ数カ月で人気に変化が見られる。新型コロナと大統領選のデマを載せている多くのサイトのエンゲージメント(投稿への「いいね」やリツイートなどのユーザーからの反応)が、アメリカで新型コロナの感染が拡大し始めた3〜4月のピーク時に比べて落ちているのだ。ニュースを読む時間が増えたことで陰謀論へのリテラシーが高まったためらしい。 例えばマッドワールドニュース・ドットコムは、新型コロナに関するさまざまな陰謀論を発信している。今年春には、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツがコロナワクチンを接種する人にマイクロチップも埋めて追跡する「邪悪な計画」を立てていると伝えた。このサイトは米大統領選の開票結果についても数々のデマを流しているが、10〜11月の1日の平均エンゲージメントは3〜4月に比べて68%も下がっている。 ===== だがニューズガードが「レッド(ほぼ信頼性なし)」と判定した政治サイトのいくつかは、大統領選のデマを流し、ここ数週間でエンゲージメントが急上昇している。 その1つであるザ・ゲートウェイパンディット・ドットコムは、米大統領選で最も拡散されたデマをいくつか発信している。例えば今回の選挙は、不正な郵便投票や故人の名前を使った投票によって民主党が「盗んだ」という説だ。 検索エンジンやソーシャルメディアによるデマ対策が機能しているかどうかは、判断が難しい。悪名高い陰謀論サイトの中には、新型コロナの流行以降にエンゲージメントが増えたものもある。 今年の2大ニュースについてデマを広めているとニューズガードが判定した多くのサイトは、当分おとなしくなる気配がない。 <2020年12月22日号掲載>