<変異型ウイルスが乗っているかもしれないロンドンからの直行便が過去2日で70便到着。連邦政府は春の過ちを繰り返すのか、とニューヨーク州のクオモ知事> 従来の新型コロナウイルスより感染力が強い変異種がイギリスで猛威を奮っていることが確認され、ざっと40カ国が一時的にイギリスとの往来を禁止するなか、アメリカには、過去48時間で少なくとも70便がロンドンから到着、あるいは到着予定になっている。 カナダやヨーロッパの多くの国が、イギリスからの旅客機の乗り入れを禁止したにもかかわらず、アメリカでは現在のところ、禁止する兆候はない。 科学者たちによれば、イングランド南東部から感染が拡大したこの変異種は、従来のウイルスよりも最大70%、感染力が高いとみられる。この新しい変異ウイルス(VUI202012/01)は、既に感染拡大に悩まされていたイギリスで、急速に広まっている。 本誌が航空便追跡サイト「フライト・アウェア」から入手したデータによれば、アメリカでは過去2日間で、ロンドンの空港を出発した直行便、少なくとも70便が既に到着しているか、あるいは到着を予定している。 イギリスからの旅客便が最も多いのがニューヨークで、12月20日にはロンドン発の直行便、合わせて10便がジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)またはニューアーク国際空港(EWR)に到着。翌21日には、さらに10便のニューヨーク直行便がロンドンを発っている。 「同じ過ちを繰り返している」 次に多いのがシカゴで、20日にはロンドンのヒースロー空港(LHR)を出発した6便がオヘア国際空港(ORD)に到着。21日にはさらに4便が到着する予定だ。 ロサンゼルス国際空港(LAX)には20日に4便が到着し、21日に2便が到着を予定している。 これら3つの地域の空港がイギリスからの旅客便の過半数(36便)を受け入れているが、ほかにも米国内の複数の空港が受け入れを行っている。そのほかの34便はサンフランシスコ、ダラス、ワシントン、アトランタ、マイアミ、ボストン、フィラデルフィア、シアトルとヒューストン行きだ。 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、イギリスで新型コロナウイルスの変異種が広まっているにもかかわらず、なぜ同州にはイギリスからの旅客便が到着し続けているのかと疑問を呈した。 現地テレビ局のWABCによれば、クオモは「ニューヨーク州にはイギリスから1日あたり約6便が到着しているが、何も対策が取られていない」と指摘。「これは非難されるべき事態だ。春にも同じことが起きた。新型コロナウイルスは中国発と言われたが、実際は感染の多くはヨーロッパから入ってきた。そしてその時も、何の対応も取られなかった」と述べた。 ===== 「120の国が、イギリスからの渡航者に検査を要請しているが、アメリカはしていない。ヨーロッパのほかの国々はイギリスからの渡航禁止を決定したが、アメリカはしていない。そして今日も、変異したウイルスが飛行機に乗ってJFKに到着している。何度同じ過ちを繰り返せば学習するのか。ほかの120カ国と同様に、アメリカもイギリスからの渡航者には検査を受けるよう要請すべきだ」 クオモは、渡航者の入国を禁止したり、彼らの健康状態を監視したりするのは連邦政府の責任だとして、「保健福祉局や疾病対策センター、国立衛生研究所は何をしているのか」と問いかけた。「以前と同じ過ちが繰り返されて、1日に6便が(ニューヨークに)到着している。1人がウイルスを持ち込めば、それで終わりだ」 現在、約120カ国がイギリスからの渡航者に対して、検査の陰性判定を提出するよう求めており、多くの国がイギリスからの渡航を完全に禁止している。 20日にはドイツ、イタリア、オランダ、フランス、ポルトガル、スイスとアイルランドをはじめとするヨーロッパ諸国に加えて、カナダもイギリスからの旅客便の受け入れを停止した。カナダの公衆衛生庁は声明の中で、既にイギリスからカナダに到着している渡航者については今後、これまで以上に厳しい審査を行うと表明した。 アメリカにとって恐ろしいのはイギリスからくる変異種だけではない。政府統計によると、アメリカではクリスマス休暇が始まる先週末の空港利用者は300万人に達したという。