<韓国・文在寅政権は、相次ぐ不動産政策の失敗や、与党政治家の相次ぐ不祥事、新型コロナ対策の失敗で、支持率が急落している......> 文在寅大統領の支持率が低迷している。不動産価格の高騰が続いて、文大統領を支持してきた20代から40代がマイホームを購入する夢が遠のき、文政権離れが加速しているのだ。 韓国政府は不動産高騰の原因は住宅不足にあるとして、供給を増やす対策を打ち出すが、非現実な施策に批判の声が上がっている。 不動産高騰の背景に、韓国特有の賃貸制度「チョンセ(伝貰)」 韓国の不動産が高騰している背景に、韓国特有の賃貸制度「チョンセ(伝貰)」がある。チョンセは、賃借人が入居時に売買価格の50%から80%に相当するチョンセ金を賃貸人に払い込み、月々の家賃がない賃貸制度で、チョンセ金は敷金に相当し、退却時に全額返還される。 朝鮮戦後の1950年代後半から多くの国民が首都ソウルに流入し、住宅が不足した。1960年、韓国の預金金利は17.4%で、90年代には10%前後まで下がったが、賃貸人はチョンセ金を銀行に預けると家賃収入と同等以上の収益を得ることができ、賃借人は家賃に相当する額を貯蓄に回して住宅購入資金を貯めることができた。 資産家はチョンセの預かり金とマンションを担保に銀行から借入れ、2軒目、3軒目の賃貸用マンションを購入した。 2000年代に入って金利が下がると、利子収入が期待できなくなった資産家は値上りによるキャピタルゲインを求めて不動産投機をはじめた。 韓国の住宅開発は、数千戸から数万戸規模で行われる例が少なくない。自治体が土地を確保し、入札で選ばれた民間業者が開発する。大規模造成地は不便な場所が多く、新築時の分譲価格は低く設定される。入居がはじまると商店やスーパーなどの生活便利施設やバス路線などの公共交通が整備されて利便性が向上し、価格が値上がりする。地下鉄が開通して新築時の5倍から10倍に値上がりしたマンションもある。 韓国のマンションは頭金を払い込んで契約し、残金を払って引き渡しを受ける。少ない自己資金で購入契約を締結し、入居者を募集して預かったチョンセ金で残金を支払い、退去者への返還金は新たな入居者から預かるチョンセ金を充当する"自転車操業"を繰り返しながら値上げを待つ投機家が現れた。 2009年のリーマンショックで金利が2%に下落すると、"自転車操業"家主の破産が相次ぎ、チョンセ金が銀行の担保に組み込まれていない不動産が高騰した。 また、韓国内の投資適格案件が不足し、日本をはじめとする海外投資がはじまったが、2019年のNO JAPAN運動で日本投資が難しくなり、国内不動産への投資が加速した。 ===== 失敗続きの不動産政策 韓国政府は不動産高騰の原因は住宅不足にあり、供給を増やせば価格が安定すると考えた。2019年12月、複数住宅を保有する青瓦台(大統領府)の高官に対し、所有する住宅1軒を除いて他を処分する勧告を出した。住宅供給を増やすため「青瓦台の高位公職者が先頭に立って模範を示す」趣旨だったが、不動産価格は高騰を続け、また、政府高官が複数住宅を所有していることに対する批判が高まり、20年7月、再度、勧告を出し、また複数住宅の所有制限を国会議員や政府機関の局長級以上に拡げて、該当者から不満が出た。 国会議員は地元選挙区とソウルに住宅を保有している人が多く、公務員も2012年の政府機能移転でソウルに家族を残して移転先でも住宅を購入し、複数所有者となった人が少なくなかった。 2020年11月、政府は新型コロナウイルスの拡散で打撃を受けたホテルや雑居ビルなどを買い取って賃貸住宅に改造し、供給する対策を打ち出した。しかし、ホテルや雑居ビルは、生活インフラが整っていない商業地に集中する。面積が狭く壁が薄いホテルの部屋で暮らせるのかと批判する声が上がり、ホテル乞食を意味する「ホゴ」という新語が登場した。 韓国政府はまた、空き家となっている小型集合住宅を買い取って賃貸住宅として供給すると発表したが、職場から遠く教育環境が悪いなどの理由から空き家となっている物件が多く、住宅不足の解消には役立たないという声が広がった。 支持率急落、政権末期のレームダックが本格化? 11月23日、与党・共に民主党の陳善美(チン・ソンミ)議員が韓国土地住宅公社の公共賃貸住宅を視察して「自分の家と違いはない。マンションに住む幻想を捨てるべきだ」と発言して政府の住宅対策を擁護したが、議員自身はソウル中心部の新築高級マンションに居住している。フランス革命の頃、「パンがなければ、ブリオッシュを食べればよい」と話したという逸話があるマリー・アントワネットになぞらえ、「マリー・チントゥワネット」と揶揄された。 12月17日、文在寅大統領は、京畿道華城市にある公共賃貸住宅を視察した。1時間の視察のために、内装工事や家具レンタル代など、4億5000万ウォン(約4300万円)を支出し、数日間に渡って突貫工事が進められたことが明らかになり、「庶民の現実を直視しない大統領のためのショー」と批判する声が上がった。 12月28日に韓国世論調査会社リアルメーターが発表した文大統領の支持率は36.7%、不支持率は就任以来最高の59.7%となった。与党政治家の相次ぐ不祥事や新型コロナウイルス対策の失敗など、政権末期のレームダック、死に体が本格化するという分析が出ている。