<「核開発の父」暗殺を受け、イラン議会はIAEAの査察拒否やウラン濃縮を推進できる新法を可決> イランのハタミ国防相は昨年12月中旬、軍の核兵器開発を統括する防衛技術革新機構(SPND)の予算を256%増額すると発言した。国際社会の働き掛けや米トランプ政権の脅しを無視して核開発予算を大幅に増やす判断は、イランと国際社会の対立が一段と激化した表れと言える。 引き金となったのは、「イラン核開発の父」としてSPNDを率いてきたモフセン・ファクリザデが11月末にテヘラン近郊で暗殺された事件。イラン当局はイスラエルの犯行と断定し、アメリカも関与したとみて報復を誓っている。 暗殺を受け、議会はIAEA(国際原子力機関)の査察拒否やウラン濃縮を推進できる新法を可決。ウラン濃縮率は2015年の核合意で定められた3.67%を大きく上回る20%に引き上げ可能になる。 バイデン次期米大統領はイランが規定を遵守すれば合意に復帰するとしているが、イランでは反米保守派が勢いを増しており、両国の溝を埋める糸口は見つかっていない。 <本誌2021年1月12日号掲載>