<ワクチン関連株に関心は集中しそうだが、投資対象にするにはリスクもある。編集部が選んだ2021年に期待の5テーマのひとつ、バイオ。その動向と代表的な日米銘柄をアナリストに聞いた。本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より> 遺伝子組み換えや再生医療といった幅広いテーマをカバーするバイオ関連企業。しかし2020年の株式市場では、一部の企業に救世主としての「期待感」が集中することとなった。 新型コロナウイルスのワクチンや特効薬の開発を手掛ける企業だ。 全世界がコロナ禍に翻弄されるなか、2020年前半は治療薬として期待されたアビガンやレムデシビルなどの薬剤関連銘柄が、後半からはワクチン関連銘柄が高騰。ワクチン開発をめぐる報道の過熱もあり、いち早く臨床試験の成果を公表、英米での接種開始へとステップを進めた米製薬大手のファイザーや米バイオ医薬品企業モデルナなどが大きくクローズアップされた。 「米国市場でバイオと言えば、それまでは創薬ベンチャーのギリアド・サイエンシズが代名詞的だったが、ワクチン関連一色になった」と、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは振り返る。 ギリアド社は、インフルエンザ治療薬のタミフルやHIV治療薬のツルバダなどで脚光を浴びてきた企業。引き続き注目なのは間違いないが、今はどうしてもワクチン関連銘柄に視線が集中する。 「2020年後半はファイザーとワクチンを共同開発した独ビオンテックが、バイオ関連のみならず全銘柄の中で一番物色された印象だ」(広木氏) 欧米主導で進むワクチン開発だが、日本でもバイオ創薬ベンチャーのアンジェスが名乗りを上げ、アビガンの製造を担う富士フイルム富山化学なども引き続き期待されている。ただし「日本はバイオ分野のプレーヤーが少なく規模も小さい」(広木氏)。 コロナ用ワクチンは、承認の下りた国ごとに順次接種が始まったばかり。JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは「ワクチン接種からの正常化につながる期待が、少なくとも2021年前半は続く」とみるが、注意が必要だという。「急ピッチでワクチンを製造したため、効果が出ない、あるいは期待されているほど収益に貢献しないといった事態も想定し得る」 一方、「既にワクチン関連銘柄は期待感を株価に織り込み済み」と言うのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の新井洋子チーフ・グローバル投資ストラテジストだ。「まだ実用化への進展段階であり、有効性などの吟味なしにこれから投資対象とするにはリスクが大き過ぎる」 そもそも先進技術を扱うバイオ関連銘柄は、ワクチンに限らず、未知の技術に「賭ける」側面が強い。 2021年も引き続き注目は続きそうだが、今後はポストコロナに向けた「目利き」も問われそうだ。 ===== 注目の日本株 アンジェス(東証マザーズ:4563) 1999年に設立された創薬バイオベンチャー。遺伝子の働きを活用した医薬に特化し開発を進めている。カナダやイスラエルなど海外のバイオベンチャーとの提携も推進。大阪大学と共同で、新型コロナウイルスのDNAワクチンを開発中。 本誌2021年1月12日号26ページより 注目の米国株 ビオンテック(NASDAQ:BNTX) ドイツのバイオ医薬品企業。2008年設立で、創業者はトルコ系移民の夫妻。遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」活用を基幹技術とし、2020年3月から米ファイザーと共同でコロナワクチンを開発。ナスダック上場は2019年10月。 本誌2021年1月12日号26ページより ※チャートは全て、上が株価(日本銘柄の単位は円、米国銘柄の単位はドル)、下が売買高(単位は株、Mは100万、Bは10億を表す)。チャート提供:TradingView <本誌2021年1月12日号「2021年に始める 投資超入門」特集より>