<全世界でテレワークが普及し、日本でもDXがキーワードに。一方、観光や航空、外食はどうなるか。2021年注目の投資テーマ、デジタル化。その見通しと代表的な日米銘柄をアナリストに聞いた。本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より> コロナ禍を追い風に、全世界で普及が進んだテレワーク。 オンライン会議の代名詞となったアプリ「ズーム(Zoom)」を手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株価は、2019年末の60ドル台から大きく飛躍、一時600ドル台に迫る勢いを見せた(ファイザーのワクチン開発成功報道後に一時下げた)。 ズームのように、テレワークの普及で業績を伸ばしている企業は少なくない。 いずれは手を付けなければならなかったデジタル化、いわゆるDX(デジタル・トランスフォーメーション)だが、そうした変化が「コロナによって加速した」と、JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは言う。 マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも、「DXのサポートができる企業は強い」と話す。一例として広木氏が挙げるのが、契約書のデジタル化を推進する米ドキュサインだ。 ハンコ文化の根強い日本だけでなく、欧米でも契約の世界には紙の書類が付き物だったが、コロナ禍で対面コミュニケーションが減少。ドキュサインの提供するクラウドベースの電子契約サービスが躍進した。まだ通期の業績は赤字にもかかわらず、1年で株価は約3倍に伸びている。 日本の場合は「導入が遅れていたので尻に火が付いている」というのが、専門家の共通の見立てだ。特定の分野が伸びるというより、「システム化やツールの導入で業務効率化につなげる、あるいはコンサルティングするといった、DXを牽引する企業が恩恵を受けるだろう」(広木氏)。 この領域には富士通やNECのほか、企業の情報システム構築を請け負うシステムインテグレーションを得意とする野村総合研究所や、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューション、オービックなどがひしめき合う。 とりわけデジタル化が遅れてきた学校や官公庁向けも同じ状況だ。「企業のDX導入を指南してきた内田洋行は、学校向けのサービスに力を入れている」と、広木氏は言う。 このようにコロナ禍はデジタル化を担う産業には追い風となったが、逆に大きなダメージを受けた観光や航空、外食などはどうか。 ===== 少なくとも2021年第1四半期は厳しい状況が続き、景気が上向くのは夏場以降という見通しの専門家が多い。 そして、2020年末から一部の国で接種の始まったワクチンの効果と普及次第という面もある。仮に深刻な副作用でも出れば、そんな見通しは容易に吹き飛んでしまう。 ワクチンが普及しても厳しい業界があるとの見方を示すのは、阪上氏だ。 「外食や観光はいずれコロナ禍が落ち着きを見せれば需要が回復してくる。一方、深刻なのは航空だ。特にビジネス用途での利用が以前の状況に戻ることはないだろう。実は必要のない出張が少なくなかったことが明白になったわけだから」 デジタル化の追い風は2021年も続きそうだが、一部の業界を襲った逆風がどうなるか、注視が必要だ。 注目の日本株 野村総合研究所(東証1部:4307) 1965年設立。企業コンサルティング、ITソリューション、システム運用などをトータルに提供する。証券会社向けにもシステムを提供しており、株式の売買増加に伴い利益が拡大。また、地域再生、都市づくりなどの公共分野でのサービス提供も拡大中だ。 本誌2021年1月12日号27ページより 注目の米国株 ドキュサイン(NASDAQ:DOCU) 2003年設立、クラウドベースのソフトウエア企業。パソコン、スマートフォン、タブレットなど、端末を問わずデジタルサインや電子契約書発行が可能なサービスを展開。2015年には日本法人を設立、電子印鑑システムを手掛けるシヤチハタと事業提携している。 本誌2021年1月12日号26ページより ※チャートは全て、上が株価(日本銘柄の単位は円、米国銘柄の単位はドル)、下が売買高(単位は株、Mは100万、Bは10億を表す)。チャート提供:TradingView <本誌2021年1月12日号「2021年に始める 投資超入門」特集より> (本誌特集では、この他に「バイオ」「電気自動車」「脱炭素」「企業再編」を注目テーマに選び、日米の代表的な銘柄をアナリストに聞いている)