<逮捕者の中には米国人弁護士も含まれ、米中関係の次の火種になる可能性もある> 次期米国務長官に指名されているアントニー・ブリンケンは、香港当局が1月6日朝に民主派の前議員や活動家53人を逮捕したことを非難。ジョー・バイデン次期米政権は香港の人々を支持し、中国による「民主主義の締め付け」に反対すると表明した。 民主派の53人は、中国政府が2020年6月に施行した「香港国家安全維持法」に違反したとして逮捕された。 「民主派活動家たちの一斉逮捕は、普遍的権利を求めて声をあげた勇敢な人々に対する攻撃だ」とブリンケンはツイッターに投稿。「ジョー・バイデンとカマラ・ハリスが率いる米次期政権は香港の人々を支持し、中国による民主主義の締め付けに反対する」と述べた。 6日の一斉取り締まりでは、現地の法律事務所、何謝韋律師事務所で働くアメリカ人弁護士のジョン・クランシーも逮捕された。香港国家安全維持法の下で、香港のパスポートを持たない外国人が逮捕されたのは、これが初めてかもしれない。同法は国家分裂、政権転覆、テロや外国勢力と結託する行為を禁じており、違反した場合の最も重い処罰は終身刑と定められている。 クランシーの逮捕は、米中間の外交における新たな火種となる可能性がある。ドナルド・トランプ米大統領と中国政府はこれまでにも衝突を繰り返しており、米中関係は既に緊張状態にある。 「必要な措置だった」と保安局長 香港保安局の李家超(ジョン・リー)局長は今回の一斉逮捕について、民主派が2020年7月に立法会選挙に向けて非公式な予備選挙を実施したことに関連する容疑だと地元メディアに説明した。 民主派が独自に実施したこの予備選は、2020年9月に予定されていた香港立法会選挙に向けた候補を選出するためのものだった。全70議席を争うこの選挙で、民主派は(実現の可能性は低かったものの)過半数の議席獲得を目標としていた。クランシーは、60万人の有権者が参加したと報じられたこの非公式な予備選を手伝っていた。 香港政府はその後、新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に、9月に予定していた立法会選挙を1年延期すると発表。これに先立ち、香港政府および中国政府に敵対的な政治的見解を掲げたとして、民主派議員12人の立候補資格の取り消しを決定。これに抗議して、残りの民主派議員が一斉辞職した。 香港保安局の李は、6日朝の一斉取り締まりは「必要な措置」だったと主張。予備選に関与した者たちは香港政府を「転覆させる」ことによって、「香港を機能停止状態に」陥らせようとしたと説明した。李はさらに、取り締まりの対象としたのは「今も活発に活動している人物」だけであり、有権者を逮捕することはないとつけ加えた。 ===== 一斉取り締まりでは1000人を超える警察官が動員され、企業や民家、法律事務所や報道機関の家宅捜索が行われた。既に香港国家安全維持法違反の罪で起訴されている黎智英(ジミー・ライ)が創業した新聞社「蘋果日報(アップル・デイリー)」も家宅捜索を受けた。保安局によれば、逮捕された53人のうち6人は非公式な選挙を組織した容疑、あとの47人はそれに参加した容疑ということだ。 一斉逮捕はソーシャルメディア上で拡散され、香港民主党はツイッターで随時情報を更新。一部の活動家は、警察の取り締まりを受ける様子をライブ配信した。 民主党の羅健熙主席はツイッターに「昨年の民主派予備選に参加した全員が、主催者も含め逮捕されるだろう。何人か分からないが、40人以上、あるいは50人にのぼる可能性が高い」と投稿した。 香港・マカオの米総領事館は6日の一斉逮捕について、特にコメントはないと本誌に述べた。 中国政府は、香港当局の行動を支持すると表明。中国外務省の華春瑩報道官は定例会見で、逮捕された個人は「政権の転覆」を画策し、香港国家安全維持法に違反したと、香港政府の声明を繰り返した。 =====