<韓国財閥令嬢と北朝鮮軍人の恋を描くヒットドラマ『愛の不時着』の展示会では、数々の写真や映像、小道具が見られるが......> 日本のNetflixで配信開始されたのが昨年の2月下旬。10カ月以上たっても、いまだに根強い人気があるのが韓国ドラマ『愛の不時着』だ。今月初めに主演2人の熱愛報道が出たためか、再びNetflixの視聴ランキング「今日の総合トップ10」で1位に浮上している(1月8日現在)。 韓国の財閥令嬢でアパレルブランド社長のユン・セリ(ソン・イェジン)と、北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)の恋を描くこのドラマの世界を再現した「愛の不時着展」が東京・原宿のjingで始まった(1月8日~2月27日開催の東京を皮切りに大阪、福岡、名古屋を巡回予定)。7日にはプレス向け内覧会が行われたので、足を運んでみた。 第1話の出会いの場面を再現 (C)CultureDepot. (C)STUDIO DRAGON CORP これは日本オリジナルの企画で、いわば「世界初」の展示会。未公開写真を含む450点以上の写真のほか、ドラマで使用した衣装や小道具が展示されている。ユン・セリとリ・ジョンヒョクの愛の始まりを象徴する木にからまったパラグライダー(撮影で使われた実物)や、ジョンヒョクの家のリビング(カーテン、カーペット、テーブル、ガラス扉付きの棚は実物)、2人が乗った自転車を見ると、さまざまな場面が頭の中によみがえってくる。ジョンヒョクが湖畔で弾いたピアノを日本まで運んできたのも素晴らしい(駅ピアノのように演奏可能なら、なおよかったが)。衣装からは登場人物の姿をリアルに感じられるし、本編映像のほかメイキング映像も流れ、ドラマのファンは存分に楽しめるだろう。 ジョンヒョクの家のリビング。セリがビール缶で作った「北緯38度線」も (C)CultureDepot. (C)STUDIO DRAGON CORP 南北分断の解説や資料があれば...... だが、「解説」が少ないことにもったいなさを感じた。『愛の不時着』の魅力は障壁のある恋、韓国財閥一家の愛憎劇、北朝鮮という国家がからむサスペンスなどいろいろあるが、特に新鮮だったのは、脚色はあるにせよ北朝鮮の市民生活が伝わってくるところ。そして「統一したら」というセリフがたびたび登場し強い印象を残したように、テーマの1つは南北問題だ。 セリとジョンヒョクをリアルに感じる (C)CultureDepot. (C)STUDIO DRAGON CORP 朝鮮戦争に出兵した息子の無事を祈った痕跡が残る廃屋、北朝鮮の名物料理であるハマグリのガソリン焼き、北朝鮮の病院での輸血、軍事境界線での別れ......そうした場面の背景にある現状や南北分断の歴史的経緯がきちんと分かる解説や資料があれば、さらによかったのにと思う。NHKの大河ドラマ展などと比べるのは酷かもしれないが、深さが感じられない。 ドラマを最終回まで見終わった後の「愛の不時着ロス」という言葉も生まれたほどだが、実際にはNetflixに加入していれば何度でも視聴し、ドラマの世界に浸ることはできる。メイキング映像もYoutubeで見られる。厳密にいえば、「ロス」にはならない。せっかくなら物を展示するだけでなく、フィクションとリアルの橋渡しをし、ドラマの世界をさらに広げてくれる仕掛けがほしかった。 =====