<去年12月、シカゴの先物取引所に世界で初となる水先物が上場した。水資源管理に役立つと期待されているいっぽう、水への適切なパブリックアクセスへの懸念も示されている......> 米CMEグループが運営するシカゴの先物取引所「シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)」は、2020年12月7日、米国の新興企業向け株式市場「ナスダック」との提携により、世界で初となる水先物を上場した。 水先物は、水価格指数「ナスダック・ベルス・カリフォルニア・ウォーター(NQH2O)」に基づいて取引される。 この指数は、米カリフォルニア州の地表水および地下水盆4カ所の水利権の賃借や売買の取引価格をもとに、エーカー・フィート(1エーカーの面積を深さ1フィートで覆うのに必要な体積:約1233キロリットル)を1単位として米ドル建てで定められるものだ。2021年1月7日時点の指数は499.83ドル(約5万1920円)となっている。 農業や製造業から、水資源管理に役立つと期待されているが...... 気候変動に伴う気温上昇や干ばつなどにより、世界的に水リスクが高まっている。たとえば、2020年8月に大規模な森林火災が発生したカリフォルニア州では水不足が深刻な課題となっている。 水の先物取引は、水資源の需給バランスを効率的に調整でき、とりわけ水の需要量が大きい農業や製造業を中心に、水資源管理に役立つと期待されている。将来に備えて有利な価格で取引しておけば、不測の事態が起こっても、水資源へのアクセスを確保できるわけだ。 その一方で、水という基本的に不可欠な資源を市場で取引することについては、国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、水の先物市場への懸念も示されている。市場取引によって、水への適切なパブリックアクセスや利用可能性の確保よりも利益が優先されるおそれもある。 「水のコストは上昇し続けるだろう」 米国のシンクタンク「インスティチュート・フォー・ポリシースタディーズ(IPS)」のバサヴ・セン氏は、米紙ロサンゼルス・タイムズの取材に対して「水の先物取引は、水不足という課題への対処法にはなりうるが、気候変動や工業型農業における水の大量消費など、水不足を引き起こしている根本的な原因の解決にはつながらない」とし、「水の先物取引によるリスクヘッジは一時しのぎにすぎず、水不足の原因を解決しない限り、水のコストは上昇し続けるだろう」と指摘している。 California Water Futures Begin Trading Amid Fear of Scarcity