<一部の事業者がリスクを軽視し、巨額の利益を謳って小口投資家をカモにしている、とも警告> ビットコインなどの暗号通貨(仮想通貨)に投資している人は、全てを失う覚悟をしておくべきだ――イギリスの金融規制当局は1月11日、こう警告した。 英金融行動監督機構(FCA)は、過去数カ月にわたって急騰していた暗号通貨の価格が、週末にかけて急落したことを受けて、11日に警告を発信。「暗号資産への投資、ないし暗号通貨関連の投資や融資は一般に、きわめて高いリスクを伴う」と声明で指摘。「消費者がこの種の金融商品に投資を行う場合には、全てを失う覚悟をしておくべきだ」と述べた。 しかしロンドン在住のアナリストは、ビットコインのファンダメンタルズ(基礎的条件)は依然として強く、機関投資家は今後も暗号通貨を保有し続けるだろうと考えている。 ロンドンにある外国為替・暗号資産調査会社「クオンタム・エコノミクス」のビットコイン・アナリスト、ジェイソン・ディーンは本誌に宛てたコメントで、「強気相場における調整局面は一般に健全なものと考えられている。トレーダーはここでポートフォリオのリバランスを行い、次の段階に備えることができる」と説明。「登山家が次のポイントを目指す前にひと休みするようなものだ」と述べた。 FCA「換金できる保証なし」 さらに彼は、週末の価格急落は、小口投資家と機関投資家の相場観の違いによるものだと指摘した。 「手持ち資金の少ない個人投資家や、暗号資産について十分に理解していない投資家は、こういう状況になると売る傾向がある」と彼は説明。「だがこの価格下落を利用して、ビットコインの買い増しをする投資家もかなりの数にのぼるだろう」 英FCAは、暗号通貨には投資の原則が通用しない可能性があると指摘。「換金できるかどうかは市場の動向次第」であり、個人投資家が「暗号通貨を換金できる保証はない」と警告した。 JPモルガンは1月4日のリポートで、ビットコイン価格が14万6000ドルまで高騰する可能性があると予想していた。だが8日に4万1962.36ドルをつけて過去最高値を更新したビットコイン価格は、週末の取引では3万1045.70ドルへと約26%急落した。 バンク・オブ・アメリカは、ビットコインは「全てのバブルの母」の可能性があると警告。1990年代後半に始まったドットコム・バブルとその崩壊、約12年前の米住宅バブル崩壊やそれに続くサブプライムローン危機を引き合いに出し、警戒を呼び掛けた。 ===== 英FCAは暗号通貨への規制や監督を強化しており、6日から暗号通貨を基に組成されるデリバティブ(金融派生商品)の個人向け販売を禁止。暗号通貨を扱う事業者はFCAへの登録を必須とし、登録していない事業者が投資を勧めれば「犯罪行為」になると警告している。 またFCAは、一部の事業者がリスクを軽視し、巨額の利益を謳って小口投資家をカモにしているとも警告した。 「高リスクで投機的な投資を行うにあたって、消費者は自分が何に投資をするのか、どのようなリスクがあるのか、規制当局によるどのような保護が適用されるのかをきちんと理解しておかなければならない」とFCAは述べ、「すぐに投資をとプレッシャーをかけられたり、話がうますぎたりする場合には用心すべきだ」と呼びかけた。 しかしクオンタム・エコノミクスのディーンは、市場の調整は健全なものだと主張。抜け目ない投資家がここで買い増しを行うことで、ビットコイン市場はさらに堅調になるだろうとの考えを示した。価格は下落したもののビットコインのファンダメンタルズは強いままで、「主に機関投資家からの需要があり、個人投資家もその後に続きつつある」と彼は指摘した。 供給量の約8割が流動性なし ディーンはさらに、ビットコインは今や機関投資家の運用資産の一部になっているとも述べた。「聞くところによれば、多くの機関投資家はビットコインを恒久的に保有し続けるつもりだと言っている。暗号資産データ提供企業のグラスノードは最近の報告書で、ビットコイン資産全体の78%が『非流動的』だと指摘した。つまり価格にかかわらず、すぐに売買される可能性は低いということだ」 「テクニカル分析と投資家心理の両方に照らして、市場の調整局面入りはしばらく前から想定の範囲内だった」とディーンは述べ、「だが我々としては、調整局面はこれまでに比べて価格の下落幅が小さく、短期間で済む可能性が高いと考えている」とつけ加えた。 ディーンはまた、今回の価格下落を受けて、ビットコインを「単なる投機対象」で「通貨ではない」と結論づけるのは誤りだとも述べた。「ビットコインは支払い方法と支払いメカニズムがひとつになったものだ」と彼は指摘。「従来の通貨の定義には当てはまらない」前例のないものだから「規則もないし、評価する上での比較対象もない」と述べた。