<ヘビの移動方式は、体を左右にくねらせて進む「蛇行」、腹部を前後に動かしてまっすぐ進む「直進」など4つの方式だけではなかった......> 四肢を持たないヘビの移動方式は、体を左右にくねらせて進む「蛇行」、腹部を前後に動かしてまっすぐ進む「直進」、体を曲げて横方向に進む「横ばい」、体の伸び縮みを繰り返しながら進む「コンセルティーナ(蛇腹楽器)」という4つに分類されてきた。しかしこのほど、ヘビの「第5の移動方式」が確認された。 「投げ縄移動(ラッソ・ロコモーション)」と名付けられた 米コロラド州立大学とシンシナティ大学の研究チームは、既知の移動方式よりもはるかに大きく平滑な円柱を昇れるヘビの新たな移動方式を発見し、2021年1月11日、学術雑誌「カレントバイオロジー」で研究論文を発表した。この新しい移動方式は、投げ縄のような姿勢から「投げ縄移動(ラッソ・ロコモーション)」と名付けられている。 ヘビの投げ縄移動は、研究論文の共同著者でコロラド州立大学のジュリー・サヴェージ教授がグアムの固有種「カラスモドキ」の巣を保護するプロジェクトで偶然発見した。 グアム島の固有種の鳥の巣を保護するプロジェクトで発見 豪州やパプアニューギニアを原産地とする樹上性のヘビ「ミナミオオガシラ(南大頭)」は、1940年代の後半から1950年代初頭にグアムに持ち込まれた外来種だ。その後、グアムで鳥の個体数が減少しはじめ、1980年代の研究によって、ミナミオオガシラがその原因であると確認された。現在、グアムの固有種の鳥のほとんどが姿を消し、カラスモドキを含め2種がわずかに残っている。 このプロジェクトでは、ミナミオオガシラがカラスモドキの巣箱にのぼってこないよう、他のヘビやアライグマの侵入防止に用いられてきた長さ3フィート(約91センチ)の金属のバッフルを設置したが、ミナミオオガシラの侵入防止にはそれほど効果がなかった。 4時間にわたって暗視カメラで撮影された動画を研究チームが確認したところ、体長138センチのミナミオオガシラが投げ縄のようになり、直径20センチの円柱にからまって体を小刻みに動かす様子がみられた。胴を尾で固定し、進行方向に頭を向けて円柱を昇っていたという。 他の移動方式に比べて、体力を要する動作 投げ縄の輪を用いることで1カ所のみをつかむ投げ縄移動は、体を横に曲げて少なくとも2カ所をつかむコンセルティーナ(蛇腹楽器)移動に比べ、2倍以上も大きい平滑な円柱をのぼれるが、移動速度が遅く、頻繁に休憩したことから、他の移動方式に比べて、体力を要する動作であると推測される。 サヴェージ教授は、天敵であるミナミオオガシラの新たな移動方式を発見した一連の研究成果について「カラスモドキなど、絶滅が危惧される鳥類の個体数の回復にも役立てられるだろう」と評価している。