<ウィキペディアが誕生から20年、かつては内容の信憑性が問題になることがあったが、「オンライン上で安全な場所」として認められつつあるという......> Wikipedia(ウィキペディア)が誕生から20年を迎えた。今や、検索エンジンではトップページに上がることがほとんどで、もはや知らない人はいないほどの存在だ。 今年に入ってからも、ウェブ分析サイトAlexaの「世界でもっとも人気のあるウェブサイト」のトップ15~20の1つにランクインするなど、名実ともにインターネットを象徴するウェブサイトとして大成長を遂げた。 5年以上も掲載されていた虚構記事もあった ウィキペディアはオープンコラボレーション形式のオンライン百科事典で、2001年1月15日にジミー・ウェールズ氏とラリー・サンガー氏によってアメリカで設立され、非営利のウィキメディア財団によって運営されている。多言語展開し、日本に上陸したのは同年5月のこと。投稿数は5500万本で、アクティブの編集者は月27万人、編集回数は10億回を超えている。 ウィキペディアの編集者は同サイトでの経験や実績が豊富であればあるほど優先されるシステムだが、誰もがボランティアとして編集することができるため、内容の信憑性とバイアスなどは、長らく議論の対象となってきた。 意図的で悪質な虚偽・虚構の記事、思い込みによる勘違いや陰謀論などは、特に厄介な問題だ。ウィキペディアによると、いたずらや虚偽の投稿は5分以内に削除されることが多いというが、例外もある。例えば、ビコリム戦争(Bicholim conflict)という史上で実際に存在しない戦争が、英語版に2007年から5年以上も掲載されたことがあり、話題になった。 「ウィキペディアが最も信頼できるサイトになりつつある」と米紙 先月のIPO以来、新ビリオネアとしてアメリカで話題になっているルミナー社(自律走行車のセンサー開発)の25歳CEO、オースティン・ラッセル氏も「自分の知識はウィキペディアとユーチューブから」と発言するなど、デジタルネイティブのZ世代には、情報を獲得するにあたり、ひじょうに大きな存在となっている。 ウィキペディアも「信頼できる情報源」を目指し、開始以来さまざまな改良を重ねてきた。その結果、誕生から20年にして「オンライン上で最も安全な場所として認められつつある」とワシントンポスト紙が報じた。 ===== ワシントンポストによると、近年ウィキペディアは正確な情報を発信するためのルールがさらに増している。記事には情報源や参考文献などがつけられ、新たな編集者が情報を変更するのに制限を設けるため、ページを保護およびロックする機能を搭載。編集者は内容のクレームに対して情報源を要求でき、虚偽情報を排除できる設定になっている。また頻繁に誤った編集を行う者は使用禁止の対象となる、などだ。 また1トピックにつき重複ページがある場合は削除され、1ページ完結で説明が終わるので、ソーシャルメディアと比べて、フェイクニュースが拡散、炎上しにくい設定になっているという。11月の大統領選挙結果に関しても、何千もの誤解を招く記事がフェイスブックで出回ったとされるが、ウィキペディア上の記事は1つだけだった。 この結果、近年GAFAなどビッグテック企業ではウィキペディアを「ファクトチェック」用として活用するようにもなった。2018年より米フェイスブックやユーチューブは、ウィキペディアの関連記事のリンクを提案することで、それぞれのプラットフォームで炎上し蔓延しているフェイクニュースの正誤の判断ができやすいようにしている。 どのプラットフォームでもつきまとうフェイクニュース問題 一方で、インターネット上の虚偽情報、でっち上げ、フェイクニュースは、何もウィキペディアに限ったことではない。ソーシャルメディアの情報からウェブニュースに至るまで、どのプラットフォームでもつきまとう問題だ。 それらの問題に対して、ビッグテック各社は近年、さまざまな防止策を取り始めている。例えばフェイスブックは、フェイクニュースの拡散を阻止するため、モデレーター(問題のあるコンテンツを検閲し削除か否かの判断をする担当者)を現在1万5000人ほど導入している。またカスタム人工知能システムを構築したことで、ヘイトスピーチの94%以上を検出、削除することにも成功した。最近でも大統領就任式に向け、トランプ支持者が主張している不正選挙について、支持者同士の合言葉「StoptheSteal」(票を盗むのを止めろ)をフェイスブックのプラットフォームからいっせいに削除するなどした。 また、つい最近も、アメリカの一部のエリアでワクチンが一般の人々も接種できるというフェイクニュースがソーシャルメディア上で瞬く間に拡散された問題をワシントンポストが報じたばかり。現場には、長蛇の列ができ大混乱が生じた。しかし実際には64歳以下の接種は例外を除いて認められておらず、高齢者なども事前予約が必要だった。 ウィキペディアに限らず、あらゆるメディアやソーシャルメディア上では、受け手側である個人のリテラシーがこれまで以上に求められていると言えるだろう。