<これまで恐竜のお尻の穴(総排出腔)は謎だったのだが、はじめて解剖学的構造が初めて解明された...... > 総排出腔とは、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の一部にみられる、消化管の末端と排尿口、生殖口を兼ねた器官だ。このほど、恐竜の総排出腔の解剖学的構造が初めて解明され、その研究成果が2021年1月19日、学術雑誌「カレントバイオロジー」で発表されている。 ワニや鳥類と類似する機能がいくつか見つかった 今回の調査に用いられたプシッタコサウルスは、中生代白亜紀に生息した体長1〜2メートルの草食恐竜で、オウムのような嘴を持つのが特徴だ。英ブリストル大学のヤコブ・ウィンテル博士は、中国・遼寧省の白亜紀初期の遺跡から発掘され、独フランクフルトのゼンケンベルク自然博物館で所蔵されていたプシッタコサウルスの化石を用い、2016年にプシッタコサウルスの体色を復元した際、この化石に残された総排出腔の保存状態が良好であることに気がついた。 Credit: Jakob Vinther, University of Bristol and Bob Nicholls/Paleocreations.com 2020 そこで、ウィンテル博士らの研究チームは、この化石の総排出腔を詳しく観察した。なお、この化石に総排出腔の内部構造は保存されておらず、このプシッタコサウルスの性別は不明だ。 プシッタコサウルスの総排出腔の外部構造を陸上で生息する現生動物と比較したところ、ワニや鳥類と類似する機能がいくつか見つかった。たとえば、プシッタコサウルスの総排出腔には、鳥類のオスが繁殖期に精子を貯蔵する隆起部と似た領域がある。このことから、プシッタコサウルスにも鳥類と同様の機能が存在した可能性がある。 また、総排出腔の両側には、ワニにみられるような側唇がある。ただし、ワニの側唇は縦に並んでいるのに対し、プシッタコサウルスではV字型になっている。このことから、プシッタコサウルスの総排出腔はスリット状に開口していた可能性がある。 Credit: Jakob Vinther, University of Bristol and Bob Nicholls/Paleocreations.com 2020 総排出腔の外縁に、メラニン色素の沈着 総排出腔の外縁には、ワニと同様に、メラニン色素の沈着がみられたことに、研究者は注目している。この色素沈着が、生きているヒヒなどと同様に、アピールするための信号伝達の機能を持っていたのではないかと考える。この領域は、ワニが求愛行動する際に匂いのある分泌液を産生する臭腺の役割を担っている。研究チームでは、プシッタコサウルスにも色素沈着した領域に臭腺があるのではないかと考察している。