<「コロナはゲイツなどエリートによる陰謀」と信者に話す教団でクラスターが......> これまで新型コロナウイルスの感染拡大を、独特のアイデアと行動力で乗り越えてきた韓国。ドライブスルー検査やスマホの位置情報をもとにした感染者追跡などは世界中から注目されてきた。 昨年末には感染第3波が到来したが、すぐに具体的な防疫対策強化がとられて、感染者数も徐々に落ち着きを見せはじめた今、またしても宗教団体からのクラスターが発生し、韓国民の怒りをあつめている。 宗教団体からの深刻なクラスター発生は、韓国ではなんと今度で3回目だ。1度目は新型コロナウイルスの感染が深刻化しはじめた昨年2月、韓国内での感染を拡大させるきっかけともなった大邱市での「新天地イエス教会」でのクラスターだ。 狭い礼拝堂で密になってのミサや、信者らが別の教会の信者を装って、こっそりと宣教をして回るという手口で、韓国全土へ一気に感染が拡大してしまった。 感染第2波を引き起こした極右の教会 そして2度目は、韓国に第2波が直撃した8月の「サラン第一教会」によるクラスターである。 この教会は宗教団体でありながら、極右的政治団体としての活動も行っており、昨年8月15日には集会禁止令を無視して文在寅政権糾弾デモ集会を決行した。 後日行われるであろう警察によるデモ参加者の追跡調査を逃れるため、数日前からクレジットカードの使用禁止や、GPS対策としてスマートフォンの電源を切っておくよう指示するなど、故意に捜査を混乱させ問題となった。 結果、デモ集会ではサラン第一教会代表であるチョン牧師を含む650名を超える信者が感染し、その後2次・3次感染と全国に拡大していった。 コロナ禍でも1泊2日の集会を開催 そして、今年1月。3度目となる宗教団体によるクラスターは、慶尚北道の尚州市にある宗教施設BTJ列邦センターから発生した。BTJ列邦センターのBTJとは、"Back To Jerusalem"(もしくはJesus)を意味するという。ここは、1983年に設立された韓国の改新教の一つである宗教団体「InterCP」の教育施設である。 InterCPは、BTJ列邦センターで定期的に1泊2日の集会が行われていたそうだ。昨年10月9・10日には600名規模の集会が行われたが、そこでは「コロナウイルスは、ビル・ゲイツを含む一部のエリートたちによって作られたもの」という陰謀論的な発言があったという。 さらに、InterCP代表チェ・バウル氏は、7月に京畿道の教会での説教にて「DNAワクチンを打てば奴隷になる」という発言をしたことも認めている。これらの発言が示すように、InterCPは新型コロナウイルスに対して偏った考えを信者に唱えている団体だと伺える。 ===== 問題となったクラスターは、昨年11月27・28日に行われた集会イベントが原因とされる。この日、韓国全土から540名以上の信者がセンターに集まった。そして集会終了直後、この集会からクラスターが発生したことが明るみになった。問題の発覚後、地元自治体はすぐに対応し、InterCP側に集会の参加者名簿の提出を要請したが拒否されてしまった。 2次感染、3次感染で520名に感染拡大 その後も、InterCP側は感染者の情報提出の拒否、ウイルス検査の拒否、さらには偽の連絡先を提出するなど、「サラン第一教会」のように当局へ非協力的な態度をとっており、韓国民の非難が集中している。 結局、BTJ列邦センター訪問者のうち、なんと260名の感染が発覚。さらにそこから2次感染、3次感染が発生。520名以上に広まっていったという。 尚州市は、今月3日BTJ列邦センターの使用禁止命令を発令し、その4日後にはセンターの閉鎖を決定した。そして、InterCP幹部2名を警察に告訴し、拘束する素早い対応をみせた。 さらに、尚州市は11月に行われた集会に参加したにもかかわらずコロナウイルス検査を拒否し続けている信者57名を告訴している。市は「集会参加者全員の身元確保と、検査が終了するまで毅然とした態度で挑む」と強い声明を発表した。 尚州市に続き、ソウル市でも11月の集会イベントに参加していたInterCPの信者をGPS追跡捜査システムにより突き止め、検査拒否を続ける1名と連絡拒否の4名を告発したと発表した。個人情報保護よりも徹底した感染者追跡を優先する韓国の毅然とした姿勢は健在だ。 こうして、InterCPクラスターも落ち着きを見せはじめめたところ、先週末またしても2件の宗教施設でのクラスターが報道され、韓国民は落胆の色を隠せないでいる。 宗教団体の寮でクラスター 今月24日、大田市にある「IM宣教会」が運営する無認可教育施設IEM国際学校では、127名(1月25日現在)のクラスターが発生した。この学校は基本的に寮生活をしながら宗教を学ぶ施設であり、感染確認後、生徒と教員146名の検査を行ったところ生徒116名、教員11名の陽性が発覚したという。 陽性者はすでに治療センターに隔離され、施設は閉鎖されている。大田市教育庁は韓国防疫センターと協議し、類似する宗教団体関連の無認可学校も、防疫規則を順守しているか調査していくと発表した。 光州では教会の学習塾で感染 また、同じく24日、光州市にある「ピッネリ教会」では、同教会が運営するホームスクール型学習施設にてクラスターが発生した。 感染拡大第3波対策の防疫強化が開始されると、教会での集会はオンラインに変更されていたものの、教会職員とスクールの教員・生徒の一部は建物内の寄宿舎で寝泊まりしていたという。そこから感染が拡大してしまい、現在建物内にいた30名のうち18名の陽性が確認され、5名は陰性。残り7名の検査結果待ちだという(1月25日現在)。 新型コロナウイルスのパンデミックが発生し1年以上が過ぎた。韓国は、これまで感染数が増えても全国一斉の防疫対策など国民一丸となって取り組んできたが、またしても宗教団体の身勝手な行動でクラスターが起こってしまった。 先が見えない長い闘いに疲れ、神にすがりたくなる気持ちもよくわかるが、だからといって集団イベントを開催し、感染を拡大させることを神は望んでいるはずがない。このような信仰心を盾にしたクラスターが、もう二度と発生しないことを願っている。 ===== クラスター生んだBTJ列邦センター、閉鎖の行政執行も妨害 クラスターを発生したBTJ列邦センターに対して慶北尚州市は閉鎖命令を出し、市長自ら出向いてセンター側のスタッフと激しいやり取りをした。 YTN News / YouTube