<「合衆国」のスペルを間違うのもひどいが、反論内容はもっとひどいと笑いものに> ドナルド・トランプ前米大統領の弁護団が上院に提出した、弾劾訴追に対する反論書面が、間違いだらけで物笑いの種になっている。 米下院は1月6日に起きた連邦議会議事堂襲撃・占拠事件を扇動したとして、トランプの弾劾訴追を決定。2月9日から上院で弾劾裁判の審理が始まる予定だ。トランプの弁護チームを率いるデービッド・ショーンとブルース・キャスターは2日、弾劾訴追に対する反論の書面を上院に提出し、既に大統領を退任して私人であるトランプを弾劾裁判の対象とするのは違憲だと主張した。 しかし注目を集めたのはその内容ではなく、幾つものスペルミスだった。書面は合衆国上院の議員に宛てたものだったが、まず宛名の合衆国「United States(ユナイテッド・ステーツ)」のスペルが「Unites States(ユナイツ・ステーツ)」になっていた。 冒頭からの恥ずかしいスペルミス THE OFFICE OF DONALD TRUMP 弁護団はまた書面の中で、2020年の米大統領選は「盗まれた」ものだというトランプの根拠のない主張を繰り返し、トランプは引き続き「選挙結果は疑わしいものだったという考えを表明していく」と述べた。 書面には「第45代合衆国大統領の主張が正しいか否かについて、法律の専門家が判断できた十分な証拠がないことから、彼(トランプ)は自らの主張が誤りだったとは認めない」と書かれている。 「スペルミスも内容もお粗末」 弁護団はさらに、合衆国憲法は「弾劾の対象とするのは現職の大統領」と定めていると主張し、選挙結果が疑わしいというトランプの主張については、(言論の自由を保障する)憲法修正第1条の権利を行使したものだと述べた。 書面をさらに読み進めると、United Statesの2度目のスペルミスが出てくる。これについてソーシャルメディア上には、書面を作成した弁護団をからかうコメントが数多く投稿された。 CNNのアンカーであるジム・シュートはツイッターに「世界で最も偉大な審議会は『ユナイツ・ステーツの上院』」と書き込んだ。 民主党のドン・ベイヤー下院議員(バージニア州選出)は、「トランプの弁護団は書面の冒頭で『ユナイテッド・ステーツ』のスペルを間違えており、その後は内容がさらにお粗末になっていく」と指摘。 ジャーナリストで弁護士のジャド・レガムは「弾劾訴追に対するトランプの正式な反論は『ユナイテッド・ステーツ』のスペルミスで始まっている。今後はさらにひどくなっていくだろう」と皮肉った。 ワシントン・ポスト紙のフィリップ・バンプ記者も弁護団批判に参戦。弁護内容の分析に絡めて「書面の内容に興味がある人に教えよう。内容も同じようにお粗末だ」と書いた。 ===== 弁護団に先立ち、2日朝には下院議員らが審判請求理由を記した書面を提出していた。 彼らは書面の中で「トランプ大統領は嘆かわしいことに就任の宣誓に背き、暴徒を煽って上下両院合同会議が行われていた連邦議会議事堂を襲撃させ、議会がジョー・バイデンを大統領選の勝者として承認するのを阻んだ」と主張した。 下院議員らはさらに、1月6日の事件についてトランプに責任があることは「間違えようのない事実」だとして、こう続けた。 「トランプ大統領は熱くなった支持者を、『死に物狂いで戦わなければ、国を失うことになる』と煽った。そして彼は『弱さをもって国を取り戻すことは決してできない。強さを示すべきだ』と宣言し、彼らを連邦議会議事堂に向かわせたのだ」 下院議員らは、1月6日の事件はトランプが「危険な状況をつくりあげ、自らそれに火をつけ、大惨事を通じて自身を有利な立場に導こうとしなければ起き得なかった」とも指摘した。 トランプは事件への責任を否定 また書面には、トランプは「暴徒を呼び集め、議会襲撃を煽った。その後に起こった全てのことの責任は彼にある。(トランプ)大統領なくして一連の事態は起きなかった。大統領は即座に、力強く介入して暴力を止めることもできたのに、そうしなかった」というリズ・チェイニー下院議員(共和党会議長)の言葉が引用された。 1月6日にトランプが支持者集会を開いた直後に起きた議会襲撃事件では、議会警察の警察官1人を含む5人が死亡した。 当時、議事堂内では議員たちがマイク・ペンス副大統領(当時)と共に、選挙結果の承認手続きを行っていたが、トランプ支持の暴徒たちが乱入して窓を割るなどの破壊行為に及んだため避難を余儀なくされた。 トランプは事件から何日も経ってからコメントを出し、(集会での)自分の発言は「完全に適切なものだった」ととして、一切の責任を否定した。 1月11日、下院民主党はトランプが大統領選の結果に異議を唱え、政府に対する暴力を煽ったとして、トランプに対する2度目の弾劾決議案を提出。同13日、下院は決議案を賛成多数で可決した。 決議案は「(トランプは)民主主義制度の整合性を脅かし、平和な権力の移行を妨げ、議会を危険にさらした」と指摘。「それによって彼は大統領としての信頼を裏切り、アメリカの国民に明白な損害を与えた」と断じた。 ===== チャック・シューマー上院院内総務は議会での演説の中で、「ドナルド・トランプが扇動したことで議会議事堂襲撃事件が起きた1月6日は、私たちにとって決して忘れられない日になった」と語り、こう続けた。「我々は皆、この国の歴史におけるこの不愉快な出来事との決別を望んでいる。この国に癒しと団結をもたらすためには、真実が示され、説明責任が果たされる必要がある。この弾劾裁判は、そのためのものだ」 ===== 冒頭からの恥ずかしいスペルミス THE OFFICE OF DONALD TRUMP