<全身を泥で覆われた約3200年前の古代エジプトのミイラを、豪マッコーリー大学の研究チームが発見した......> 豪マッコーリー大学の研究チームは、全身を泥で覆われた約3200年前の古代エジプトのミイラを初めて発見した。 26〜35歳の女性とみられるこのミイラは亜麻布で巻かれた後、砂や泥、藁からなる混合物で全身を覆われ、さらに亜麻布で包まれていた。 紀元前1207年頃にミイラ化された 新王国時代後期から第21王朝にわたる紀元前1294〜945年のミイラでは樹脂で覆われたものがいくつか確認されているが、泥に覆われたミイラが文献に記録されるのは、この研究チームが2021年2月3日にオープンアクセスジャーナル「プロスワン」で発表した研究論文が初となる。 Sowada/PLOS ON このミイラは、豪州の政治家チャールズ・ニコルソン卿が1857年にエジプトから棺とともに豪州に持ち帰り、1860年にシドニー大学に寄贈したものだ。シドニー大学のチャウ・チャックウィン博物館で所蔵され、1999年にはCTスキャンによる分析が行われている。 研究チームは、2017年12月、最新のCTスキャナなどを用いてミイラの再調査を実施した。ミイラに巻かれていた亜麻布の試料から放射性炭素年代測定したところ、紀元前1207年頃にミイラ化されたものであることがわかった。 一方、女性名「メルア」と記された棺は、描かれている図像から、紀元前1000年頃のものと特定されている。これらのことから、棺はこのミイラのものではなく、現地の古美術商が、このミイラを別人の棺におさめ、ニコルソン卿にまとめて売りつけたと考えられる。 最初の埋葬から60〜70年後に、泥を用いて修復された? このミイラは死後、布に巻かれて埋葬された後、何らかの事情により左ひざや下腿などが損傷し、最初の埋葬から60〜70年後に、泥を用いて修復された。高位な人物のミイラの修復には、地中海沿岸から輸入した高価な樹脂がよく用いられることから、研究論文の筆頭著者でマッコーリー大学のカリン・ソワダ博士は「一般人が、より安価に入手できる素材としてナイル川近くの泥を用い、この手法を模倣しようとしたのではないか」と考察している。 古代エジプト時代、ミイラを泥で修復するという手法がどのくらい普及していたのかはまだ解明されていないが、一連の研究成果は、古代エジプトのミイラの研究をさらに一歩すすめるものとして注目されている。