<多くの共和党議員がトランプ弾劾に反対したのはこういうわけだ> サウスカロライナ州の第7選挙区は、これまでずっとトム・ライスを連邦下院議員(共和党)に選出してきた。だがライスがドナルド・トランプ前大統領の弾劾決議案に賛成票を投じたために、次の選挙に暗雲が漂いはじめた。 ライスは1月13日、共和党のほかの9人の下院議員と共に、トランプを弾劾訴追する決議案に賛成票を投じた。すると、トランプに逆らう票を投じた他の共和党議員数人と同じく、ライスは彼を下院議員の座から引き摺り下ろそうとする政敵の激しく非難されることになった。 次の選挙となる中間選挙はまだ1年先の話だが、トランプ支持が強い第7選挙区では、弾劾訴追を支持したことがライスの致命傷になりかねない。 共和党の政治顧問であるマット・クリンクは本誌に対して、「誰もテストケースになどなりたくないが、彼は興味深いテストケースになるだろう」と語った。「ライスは予備選でトランプの支持を受けた候補の挑戦を受けることになるだろう」 議事堂襲撃事件は「どうしても許せない」 サウスカロライナ州議会のウィリアム・ベイリー下院議員は、2022年の連邦下院議員選挙への出馬をまだ宣言してはいないが、トランプが弾劾訴追された後に立候補に向けた準備委員会を立ち上げた。彼は声明で、第7選挙区から連邦議会に「保守の意見を表明する力強い声」が必要だ、と述べた。 「現在ホワイトハウスと連邦議会の上下院は社会主義的な民主党の面々に支配されている。私たちに必要なのは、保守的な価値観のために戦う人物であり、保守的な価値観の弾劾を支持する人物ではない」 連邦下院議員選への立候補を表明した同州ホリー郡教育委員会のケン・リチャードソン委員長も、地元テレビ局のWMBFに対し、ライスは「第7選挙区の有権者の望み通りに投票しなかった」と述べた。 ライスは1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件について、トランプが暴徒と化した支持者らに「自制を求めたが、強くは求めなかった」と批判。「神のご加護」がなければ、議会警察の受けた被害や「死者の数は、もっとずっと多くなっていた」だろうと主張した。ライスにとって、襲撃事件をめぐるトランプの言動は、許容範囲を超えるものだったという。 ライスは、弾劾決議案に賛成票を投じたことでサウスカロライナ州共和党からけん責処分を受け、声明の中で次のように述べた。「私はこの4年間、どんな時もトランプ大統領を支持してきた。だがこのひどい裏切りだけは許せない」 ===== 連邦下院議員選挙の選挙区は10年ごとに再編が行われ、サウスカロライナ州では2010年の国勢調査のデータを基に、第7選挙区が新設された。ライスは選挙区再編後の2012年の選挙で勝利し、第7選挙区から選出された初の連邦下院議員になった。 ライスはトランプ支持が強い第7選挙区の有権者の支持を受け続け、現在5期目を務めている。2018年の予備選(2020年の予備選は中止された)では、対立候補に、得票率84%対16%で勝利した。 だがライスは、2022年の選挙については心配していないという。彼は地元メディアのマートルビーチ・サン・ニュースに対して、対立候補との争いはいつものことだし、選挙を「楽しみにしている」と語った。 そもそも連邦議会議事堂の襲撃は正当化しがたいものだし、連邦議会での自分の投票記履歴を見れば「私が保守派であることを否定するのは難しい」だろうと主張した。 しかしクリンクは、白人で大学教育を受けていない有権者が多数を占める第7選挙区は「トランプの支持基盤」だと指摘し、こう述べた。 「これまでの投票履歴が保守的なものでも、ライスは次の選挙の心配をするべきだし、親トランプ派の対立候補を予備選の撃退に苦労するのは、ほぼ確実だ」