<英国では、ロックダウン以後、オンライン・デートをする人が急増。それに伴いロマンス詐欺が暗躍する機会も増えている......> 2020年の英国での被害総額は100億円以上 新型コロナウイルスの流行によるロックダウンで、出会いをオンラインに求める人の増加に伴い、英国やオーストラリアではロマンス詐欺の被害が拡大している。金融機関の業界団体などは、直接会ったことがない相手から金品の送付を求められても、応じないよう呼びかけている。 英ロンドン市警察などが運営する、詐欺やサイバー犯罪を通報するコールセンター「アクション・フロード」によると、2020年に通報されたロマンス詐欺の被害総額は、6800万ポンド(約100億円)以上に達した。 また、英国の金融業界団体UKファイナンスは、同団体のデータとして、2020年1月〜11月のロマンス詐欺の被害総額は1850万ポンド(約27億円)となり、前年から12%増加したと発表した。一人当たりの平均被害額は、7850ポンド(約115万円)。銀行振り込みによる被害額のみをみると、前年比20%増だった。 ロマンス詐欺とは、主にオンラインで相手に自分を恋人などと思い込ませ、金銭をだまし取る詐欺の一種だ。銀行から送金させる手口だけにとどまらず、商品券を送らせたり、携帯電話、ラップトップなどをプレゼントさせたりといった手口もある。また、銀行口座やカードを使わせて被害に遭ったケースもあるという。 主に55〜64歳がターゲット 英国では2020年3月、新型コロナウイルスの流行を受けて最初のロックダウンが行われた。これを機に、オンライン・デートをする人が急増。英国のオンライン・デート・サービス業界団体オンライン・デーティング・アソシエーション(ODA)によると、2020年の最初のロックダウン中、デートアプリのユーザー数は全英で230万人に達した。 ODAが行った調査によると、回答者の64%が、「一人暮らしの人にとってデートアプリはライフライン」と考えていることが分かった。また53%が、ロックダウン中はオンライン・デート・サービスで人と話す時間が増えたと答えた。 オンライン・デートを楽しむ人の増加に伴い、ロマンス詐欺が暗躍する機会も増えている。 英ロイズ銀行が算出したデータによると、ロマンス詐欺のターゲットになっているのは55〜64歳が多い。同行のポール・デイヴィス氏は英インディペンデント紙に対し、詐欺師はこの道のプロなので、時間をかけて信頼関係や人間関係を築き、説得力のある物語を展開してくると警告する。 UKファイナンスによると、ありとあらゆる方法を使って、相手に本物の恋愛関係だと信用させた後、治療費が必要だとか、会いに行くために旅費が必要だなどとさまざまな理由を付けて、金銭を送らせるのだという。 ===== 資金洗浄の片棒を担ぐことになるケースも オーストラリアでも、コロナ禍でのロマンス詐欺が横行している。しかも金銭をだまし取られるだけではなく、犯罪の片棒を担がされてしまうケースもある。 オーストラリアの公共放送ABCは昨年10月、ビクトリア州在住の女性(49)が、デートアプリで出会った男にだまされ、15万豪ドル(約1230万円)を資金洗浄したと報じた。女性は、デートアプリ「ティンダー」で米陸軍関係者という男と出会った。15万豪ドルを相続したというその男は、オーストラリアに銀行口座がないので、女性の口座に預けさせて欲しいと頼んだという。 実は盗んだ金の資金洗浄が目的だったようだ。被害女性は刑事告訴を免れたものの、警察当局はABCに対し、告訴されなかったのは「運が良かった」と話した。 サイバー犯罪の専門家デイヴィッド・レイシー氏はABCに対し、ロマンス詐欺増加の背景には、コロナ禍で人とのやりとりがオンラインのみという人が増えたことなどがあると指摘。とりわけ年配者で、ここ1〜2年でパートナーを亡くしたり仕事を失ったりして、精神的に弱っている人が狙われる可能性が高いと話した。 一方でオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、従来的なロマンス詐欺は年配者を狙う傾向にあったが、投資話に誘い込む新たな手法では、35歳以下の被害者が比較的多いと注意を促す。 レイシー氏も前述のUKファイナンスも、オンライン・デートの相手が、直接会うことやビデオ通話を拒む場合は注意が必要だとしている。UKファイナンスは、プロフィール写真が他人のものである可能性があることから、類似の画像を探せる「逆画像検索」をしてみるよう促す。また、会ったことがない相手にお金を送るよう求められたら相手を疑い、友達や家族に相談するよう助言している。