<人々はインフレにも債務膨張にも負けない投資先を探していると、資産運用最大手のCIOは投資の理由を語った。ビットコインがウォール街の主流になる日も近い?> 世界最大規模の資産運用会社ブラックロックのリック・リーダー債券運用グローバル最高投資責任者は2月17日、同社が仮想通貨ビットコインに「少々手を出し始めた」ことを明らかにした。ウォール街に大きな変化をもたらす可能性のある動きだ。 リーダーはCNBCの経済ニュース番組「スクワークボックス」の中で、次のように述べた。「人々は価値の保管場所を求めている。インフレ率が上昇し負債が膨らんでも、価値の上昇が見込める投資先を求めているのだ。だからビットコインを少し買ってみた」 この発言の直前、ビットコイン価格は初めて5万1000ドルを突破した。 リーダーは同番組の中で、このところビットコイン価格が高騰していることにも触れ、こう語った。「テクノロジーが進化し、規制も進化したことで、多くの人がビットコインをポートフォリオに組み込むべきだと考えるようになった。それがビットコイン価格を吊り上げているのだろう」 1月に米証券取引委員会に提出された書類によれば、ブラックロックが運用するファンドのうち2つが、ビットコイン先物を投資対象に追加している。 バフェットら大物投資家は批判 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの外部専門家で著名仮想通貨トレーダーのグレン・グッドマンは、リーダーの発言は、ビットコインがこれまで以上に「まともな資産」になったことを示していると指摘した。 「ビットコインは今やまっとうな資産であり、まともな投資対象だ。ビットコインに資金を注ぎ込んでも、誰にも馬鹿にされないようになった」とグッドマンは述べ、こう続けた。「ウォール街の金融機関や一般の企業にとって、これは大きな変化を意味する」 グッドマンはさらに、複数の著名投資家がビットコインを批判していることについても触れた。ウォーレン・バフェットはかつて、仮想通貨には「固有の価値がない」と批判。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者は以前、ビットコインについて「私の好みではない」と述べていた。 彼はまた本誌に対して、リーダーと同様の金融業界の名士の多くは、価値の保管先として適切な場所を見つけるのは「きわめて難しい」という考えを示していると説明。「伝統的な価値の保管先とは即ち、銀行にドル預金をしておくことた」と述べた。 ===== グッドマンによれば、ブラックロックのような資産運用会社は、顧客の資金を「リスクの高い」株式だけではなく、国債や「現金に至るまでの」より安全な資産にも投資している。 だが「今は利益率がとても低くてインフレに食われてしまうため、代わりの投資先を見つける必要がある」という。「その場合、従来は金が注目された。金は長期にわたって価値を維持できる傾向にあるからだ。しかし今では、ビットコインが金に代わる資産、長期にわたって価値を維持できる投資先として受け入れられ始めている」 ビットコイン価格がこの1カ月上昇を続けている一因は、EVメーカーのテスラが15億ドル相当のビットコインを購入したと発表したことにある。グッドマンは本誌に対して、リーダーの今回の発言も、同じような効果をもたらす可能性があると述べた。「今日(17日)のビットコイン価格は順調に上昇している。ブラックロックの一件となんらかの関係があることは確実だと思う」と彼は本誌に語った。 ブラックロックのほかにも、複数の金融機関が最近になって仮想通貨に参入している。アメリカ最古の銀行であるバンク・オブ・ニューヨーク・メロンは2月11日、ビットコインの保管や取引を行う資産管理サービスの提供を始めると発表した。