<州や地区レベルの司法当局がトランプに対する捜査を実行中で今後訴追される可能性も> 米領バージン諸島選出のステイシー・プラスケット下院代議員(民主党)は2月16日、ドナルド・トランプ前米大統領について、弾劾裁判では無罪となったが、今後複数の刑事責任を問われる可能性があると指摘した。 トランプは米議会に対する暴力を扇動した罪で、大統領として初めて2回目の弾劾訴追を受け、2月9日から13日にかけて上院で弾劾裁判が行われた。民主党は、トランプが大統領選後も再三、ジョー・バイデンが勝利したのは選挙で不正をしたからだと主張したことが、トランプ支持者による1月の連邦議会議事堂襲撃という事態を引き起こしたのだと指摘した。 弾劾裁判で有罪評決を受けていれば、トランプは今後公職に就くことを禁じられていた。だが弾劾裁判で検察官役の弾劾マネージャーを務めたプラスケットは16日、今後まだトランプ訴追の可能性はあると述べた。 プラスケットはMSNBCとのインタビューの中で、次のように述べた。「米国内の多くの主体が、トランプ前大統領を刑事訴追しようと準備をしている。コロンビア特別区は暴力を扇動した容疑について。ジョージア州は選挙への干渉や威嚇行為について。そしてニューヨークは、彼の脱税や不正な資金取引疑惑について。いずれも捜査が続いている」 複数の州の司法当局が捜査中 コロンビア特別区(首都ワシントン)のカール・ラシーン司法長官は1月、連邦議会議事堂襲撃に関連した軽犯罪でトランプを起訴することを検討中だと明かした。トランプは暴動が起きる前に、コロンビア特別区で「選挙泥棒を阻止しろ」をスローガンとした集会で演説しており、これが暴動発生の一因になったと批判されている。ラシーンはMSNBCに、「事件の前のトランプの言動には重要な意味がある。事件の最中および直後の彼の言動も、重要だと考えている」と語った。 演説の中で、トランプは大勢の支持者に対して「死に物狂いで戦わなければ、私たちは国を失うことになる」と言っていた。 ジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事長も18日、トランプに対する捜査を進めていると語った。トランプが同州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官に対して、同州での選挙結果を覆すのに十分な票を「見つけろ」と命じた問題についてだ。 トランプは1月にラッフェンスパーガーへの電話で、「私が望むのは、1万1780票を見つけることだけだ」とバイデンとの票差に言及し、こう続けた。「ジョージア州では我々が勝ったのだから」 ===== ウィリスは18日、地元テレビ局のWSBに対して、トランプに対する捜査には「先入観を持たずに」取り組んでいると説明。トランプが特定の法令に違反したことが事実によって裏付けられた場合には、訴追すると述べた。 「法律に違反した者は社会的地位や経済力、人種やジェンダーに関係なく、誰であれ訴追されることになる」とウィリスは述べ、「誰も特別扱いすることはない」とつけ加えた。 ニューヨーク州の司法当局は、約500の企業を擁するトランプ一族のグループ企業「トランプ・オーガニゼーション」について、税制上の優遇措置を受けるなどの目的で一部資産の価値を水増しした疑いで捜査を行っている。 1月にはニューヨーク州最高裁が、トランプ・オーガニゼーションを代表する法律事務所に対して、追加の資料を州司法長官事務所に提供するよう命じた。レティシャ・ジェームズ司法長官は1月、地元テレビ局のNY1に対して、「捜査は現在も続いている」と述べた。 脱税や詐欺行為の疑惑も ロイター通信によれば、マンハッタン地区のサイラス・バンス検事長はトランプ・オーガニゼーションの脱税疑惑や保険関連の詐欺行為について捜査を進めている。バンスは2019年、トランプの会計事務所であるマザーズUSAに対して召喚状を出し、トランプの8年分の納税記録を提出するよう要求。トランプ側は納税記録の開示を回避すべく連邦最高裁に申し立てを行っており、2021年中に判断が下される見通しだ。 (歴代大統領と違ってトランプは、あれこれ口実をつけては納税記録の開示を拒み続け、とうとうそのまま退任してしまった)。 2019年には、トランプ・オーガニゼーションが外国政府との取引によって利益を得ることは、合衆国憲法の報酬条項違反にあたるとして、複数の民主党議員がトランプを訴えた。この訴えは2020年2月、コロンビア特別区巡回区控訴裁判所によって棄却されている。