<フィットネス大好きな韓国で、コロナ対策でジムが使えなくなった人びとの取った行動とは?> 韓国ではジム好きな人が多い。以前、韓国人の友人になぜか尋ねたところ、健康のためでもあるが、男性の場合せっかく軍隊で鍛えた筋肉なのに落ちていくのが嫌だから。という答えが返ってきて妙に納得した覚えがある。 ジムに通うのは何も若者だけではない。近所の健康センターにもジム施設があり、老若男女筋トレだけでなく、ヨガやズンバなどの教室に安価で参加できる。 また、公園にも簡単なフィットネス器具が置かれている場所があり、公園での運動を「コンスジャン」、山に設置されている運動器具場所を「サンスジャン」と呼ぶそうだ。ちょっと散歩に出ながら、機具で汗を流せる。登山の最中にまで運動をする。一体どれだけジムが好きなのだろう。 ところが、その大好きなジムが新型コロナウィルス感染拡大で使用禁止になってしまった(※現在は営業時間の制限付きで再開中)。このジム使用禁止期間中、エクササイズ好きの人びとは一体どこへ行ったのか? ウイズコロナのエクササイズ「駐車場運動族」 韓国は、このコロナパンデミックで様々な新しいものを生み出したが、感染拡大から1年、新しく登場したのが「駐車場運動族」だ。 これは、文字通り「行き場を失ったエクササイズ好きの人びとが、マンションの地下駐車場で人知れず運動をすること」である。 韓国では1月大雪に見舞われ、外出が億劫になった人たちもこれに参加し、駐車場運動族が注目され、ニュースでも取り上げられるようになり、駐車場運動族人口がさらに増えたようだ。 駐車場の中とはいえ、ランニングや、ウォーキング、縄跳びなど基本的な運動はもちろん、ちょっとした段差を使って足の筋トレ、壁を利用した逆立ちなど工夫して体を鍛えている。さらに自分の車に機具を取り付けて本格的な筋トレに励む強者まで登場した。 とはいっても、駐車場での本来の目的は、車の駐車である。車が行き交う場所で駐車場運動族がウロウロしていては危ない。しかも同じ場所に留まって運動するのではなく、走り回るジョギング系駐車場運動族は、車の往来に注意が必要だ。そこで、マンション住民が寝静まった夜中12時以降に駐車場でジョギングを開始する「駐車場ヤギング(夜+ジョギング)族」なる言葉も誕生している。 こうなると、駐車場運動族に注意喚起する声も上がっている。そもそも、マンションの駐車場は地下に作られていることが多く、換気が悪い。そんな場所でエクササイズをすれば、車の排気ガスを吸い込んでしまい、逆に健康には良くないというのだ。確かに、地下駐車場では独特の排気ガスのにおいと重い空気を感じることが多い。 ===== 運動しない方が健康的? オンラインコミュニティサイトの掲示板には「マンションの低層階に住んでいるが、駐車場出入り口側のベランダを1日開けておくと床に黒いほこりが目立つ。」というような空気の悪さを示す体験談も登場した。「駐車場で運動するぐらいなら、いっそしない方が健康に良いだろう」というような否定的な書き込みが目立つようになると、今度は「非常階段運動族」という新しい一派が登場する。 こちらも言葉そのままの意味で、マンションの非常階段を上り下りして有酸素運動をする人たちだ。これならば、車の行き来を気にせずに気軽に行える。館内に設置されている非常階段の場合は、換気の問題があるが少なくとも車の排気ガスは免れるはずだ。 駐車場や階段でのフィットネス程度では物足りないという人には「ホームト」をお勧めしたい。これは「ホーム・トレーニング」を縮めた言葉で、家に本格的なジム機具をそろえて、家の中で筋トレをすることである。 個人で購入できるダンベルなどはもちろん、最近ではコロナで運営が厳しくなり閉店してしまったジムが、筋トレの機具を中古で販売する機会も増えているという。懸垂機具、スクワットマシン、ショルダープレスなど本格的なマシンが安価で購入できると人気だそうだ。 マイホームジムの貸出でコミュニティも さらに、買い取った機具をそろえて個人的な小さなジムが完成すると、自分だけで楽しむのではなく、なんとオンラインでシェアする動きが始まった。筋トレ仲間がトレーニング場所に困っていれば、自分の家を貸し出してシェアするのである。 韓国で人気のオンライン・フリーマーケットサイトであるボンゲジャントやタングン・マーケット(日本でいう「ジモティ」のようなサイト)をのぞいてみると、最近「ホームジム利用権」の出品者が目立つようになった。価格は1回の利用につき5千から1万ウォン(約500円~1000円)程度で販売されている。また、反対に「ソウル市内○○洞付近でホームジム求む」の利用者側の書き込みも増えている。 同じ筋トレ好きの人びとが、自宅に設置したトレーニングマシンを個人で楽しむだけではなくシェアすることにより、自然発生的に横の繋がりも生まれ始めている。これは、日本ではなかなか見られない韓国らしさと言えるかもしれない。 冬が来る前に近所の知り合いや親せきが集まって、キムチを一緒になって漬ける習慣や、仲の良い者同士が集まってお金を毎月出し合い、そのグループの一人にあげる「ケ・モイム」という集まりなど、現代では減少したとはいえ、韓国人はウリ文化と言われる仲間意識が強い。駐車場や非常階段で運動するだけのことだが「~族」という新造語を作り出し、お互いの仲間意識を高めているようにも見える。 コロナ感染防止対策で、様々な禁止事や制約が増えていき、1年たった今でもまだまだ息苦しい生活が続いている。しかし、個人個人で工夫をし、やりたいことを諦めない姿にたくましさを感じずにはいられない。 ===== モンスター、マルワン氏の駐車場エクササイズ ニュースでも取り上げられたマルワン氏の駐車場エクササイズ말왕TV / YouTube コロナと寒波で運動する人が地下駐車場へ 地下駐車場に出没するモンスターには女性の姿もMBCNEWS / YouTube