<米国軍事気象衛星「DMSP」による観測データを分析したところ、2014年に地球の上層大気で宇宙ハリケーンが発生していたことを初めて確認した......> 中国・山東大学や英レディング大学らの国際研究チームは、米国軍事気象衛星「DMSP」による観測データを分析し、2014年8月20日に地球の上層大気で宇宙ハリケーンが発生していたことを初めて確認した。 その研究成果は、2021年2月22日、オープンアクセスジャーナル「ネイチャーコミュニケーションズ」で発表されている。 直径1000キロ超のハリケーンのようなプラズマの塊 地球の下層大気では、暖かい海域でハリケーンがたびたび発生している。暖かく湿った空気が上昇すると、低気圧ができて周囲の大気が吸い込まれ、非常に強い風が吹き、渦巻き状の雲ができて大雨をもたらす。 これまでに、火星、土星、木星でも、地球の下層大気でのハリケーンに似たハリケーンが観測されているが、地球の上層大気で宇宙ハリケーンが観測されたことはない。 研究論文の共同著者でレディング大学のマイケル・ロックウッド教授は「これまでは上層大気で宇宙ハリケーンが存在するのかどうかですら、定かでなかった。今回の観測によってこれが証明されたことは画期的だ」と評価している。 研究チームは、「DMSP」4基が観測したデータをもとに、3D磁気圏モデリングによって宇宙ハリケーンの様子を表した3D画像を作成した。 Qing-He Zhang, Shandong University 複数の渦状の腕を持つ直径1000キロ超のハリケーンのようなプラズマの塊は、2014年8月20日午後12時頃から北極の上空110〜860キロに現れ、最速で秒速2100メートルの速度で反時計回りにグルグル回り、雨の代わりに電子を降らせた。 Qing-He Zhang, Shandong University なお、その中心部は、下層大気でのハリケーンの目と同様に穏やかであった。この宇宙ハリケーンは約8時間続き、徐々に衰退した。 太陽風エネルギーと荷電粒子の急速な移動によって ロックウッド教授は「熱帯低気圧が大量のエネルギーと関連していることを鑑みると、宇宙ハリケーンは、太陽風エネルギーと荷電粒子が大量かつ急速に上層大気へ移動することによってできるのだろう」と考察。また、「惑星大気中のプラズマや磁場は宇宙全体に存在するため、宇宙ハリケーンは広範囲に見られる現象だと考えられる」と述べている。 研究論文の筆頭著者で山東大学の張清和教授は「地球の上層大気での宇宙ハリケーンの観測は、太陽風-磁気圏-電離圏結合系の解明につながる」と指摘。 そのほか、宇宙天気のさらなる解明や、衛星の抗力の増加、高周波無線通信の障害、衛星航法のエラー増など、宇宙天気がもたらす影響についての研究にも役立つと期待されている。