<新型コロナ感染対策で、人気と尊敬を集めたニューヨーク・クオモ州知事が、複数の女性にセクハラをしていたことが発覚し、衝撃が広がっている......> 著名人のセクハラが、またアメリカを騒がせている。2017年秋に大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインのセクハラが暴露されて以来、数えきれないほどの有力者の名前が浮上し、いい加減この手のニュースには慣れてきたが、今度の件は特に衝撃が広がっている。加害者がニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(63)で、セクハラ行為がなされたのがつい最近だったからだ。 今からちょうど1年前に、ニューヨークが新型コロナ感染者を急増させてから、クオモ州知事は、決断力と行動力で、人々の尊敬を集めてきた。毎日行われたクオモのブリーフィングを見て、「大統領になるべき」という反応もあった。 3月から閉鎖を強いられてきた映画館チェーンのオーナーらが、「そろそろ開けさせてくれ」と、クオモを名指しして強烈なプレッシャーをかけてきても揺らがない。目先のことにまどわされず、どれだけ文句を言われても正しいことを貫く。クオモは、そんなリーダーだった......。 しかし、その同じ頃に、彼は若い女性にセクハラをしていたことが明らかになったのである。 女性3人が次々に告発した 先月末、クオモからセクハラを受けたと名乗り出たシャーロット・ベネット(25)は、彼のもとで働いていた昨年6月5日、職場でふたりきりになった時、クオモから個人的なことを聞かれ、「恋愛で年齢差は気になるか」「自分は20代の女性と関係をもつことにオープンだ」などと言われたと明かしている。「私と寝たがっているというのが伝わってきて、私はとても怖い気持ちになりました」と、彼女は「ニューヨーク・タイムズ」に語った。 ベネットの告発から数日後には、やはりクオモのもとで働いていた別の女性が自分の体験をウェブサイトに投稿。リンジー・ボイランというその女性によると、2016年から2018年の間に、クオモから体を触れたり、無理やり唇にキスをされそうになったりすることがあった。公務でプライベートジェットに同乗した時に、「ストリップポーカー(脱衣を含む宴会ゲーム)をやろう」と誘われたとも述べている。 その後、さらにもうひとりの女性が名乗り出た。今度の女性アナ・ルッチ(33)はクオモの職場の人間ではなく、2019年9月に行われたルッチの友人の結婚式で出会った関係。クオモが新郎新婦に乾杯をしてくれたことに対してルッチがお礼を言うと、クオモは、背中の開いたドレスを着ているルックの腰を触ったという。ルックがその手を払い除けると、今度は両手でルッチの頬を触り、「キスしていいか」と聞いてきた。ルッチはその証拠写真を「ニューヨーク・タイムズ」に提供している。 Breaking: A third woman has accused Cuomo of over-the-line behavior. Incredibly, a photographer caught the moment, and this look on her face: https://t.co/NnKCs1Y7WF pic.twitter.com/Smr4hNiKKp— Jodi Kantor (@jodikantor) March 2, 2021 被害者の女性たちへの誠意のない発言 ベネットが被害に遭ったのは、クオモのブリーフィングが評判になっていた頃だ。コロナ対策で「100日間、ほとんど寝ていない」と言っていたクオモだが、セクハラをする余裕はあったということである。何より呆れるのは、「#MeToo」運動が起こってからもう3年以上が経つのに、クオモが何も学んでいなかったとわかったことだ。これが、20年も前の出来事を持ち出されたというのなら、あの頃の自分は無知でした、今の自分は違いますと、言い訳ができなくもないだろう。 ===== しかし、彼は、この3年の間に、自分も名前を知っている男たちが告発され、職を追いやられる様子をたくさん見てきたにもかかわらず、それらの行動を続けていたのである。「#MeToo」であれだけ多くの女性が立ち上ったのを見て、何も思っていなかったのだろうか。この人がこんなに感覚がずれた、意識の追いついていない人だったのかと思うと、なんとも驚きだ。 また、クオモは被害者の女性たちに、まだきちんと謝罪をしていない。それに近いようなことは口にしたが、誠意は見られなかったし、何が悪かったのかを本当に理解しているとも思えない。今のところ辞職はしないと突っぱねているが、次の選挙は苦しいだろう。 「#MeToo」勃発を受け、多くの企業では、職場における行動のあり方についての教育が行われている。おかげで、昔なら「それくらいのことで?」と思われたことが今ではタブーなのだという知識は行き渡ってきた。しかし、今回の件は、セクハラ撲滅への道は、長く、険しいという悲しい事実を晒すことになった。