<「真実」を装った偽りで英王室を裏切ったヘンリー王子夫妻> 世論を味方に付けるには先手必勝。相手より先に自分の主張をぶつけ、ついでに相手の印象を悪くする手も打てれば、文句なしに有利だ。 名司会者オプラ・ウィンフリーの助けもあって、メーガン妃は女優として一世一代の名演技をしてみせた。アメリカのテレビ視聴者がヘンリー王子とメーガン妃の「私たちは被害者」論をすんなり受け入れたのも無理はない。 だが王子の祖父で高齢(もう99歳)のエディンバラ公フィリップ殿下が体調不良で入院中の時期に、こんな話をするのは不謹慎だ。しかも2人の言う「真実」なるものは間違いだらけだ。 そもそもヘンリーは破格の特権を持つ身分に生まれ、幼い頃からその特権には義務も伴うことを教わってきた。だから母親の非業の死というトラウマを抱えながらも、成人すると英陸軍に入り、アフガニスタンで活躍し、軍人として立派に義務を果たしたとの評価が定着していた。 なのに今回は、兄ウィリアム王子や父チャールズ皇太子も王室という制度に「囚(とら)われていて」、絶対にメディアの監視から逃れられない運命だと言い張った。 特権ゆえの義務を背負って生まれてきた者に、逃げるという選択肢はない。ヘンリーは王族の役割を捨ててハリウッドへ逃げたが、そんな選択は父や兄には一度も許されなかったし、今もない。それくらいは知っているはずだ。 王子の称号はなくて当然 さらに、海兵隊元帥という名誉職にありながら2019年には軍の行事をすっぽかし、ロンドンで映画の試写会に出席していた。その会場で米ディズニーのロバート・アイガーCEO(当時)にメーガンを声優として売り込んでいたとも伝えられる。公務最優先で生きてきた女王陛下は落胆したに違いない。そんな利己的な孫が、今度はテレビで肉親を裏切ったのだ。もう目も当てられない。 夫に比べると、メーガン妃の演技は別格だった。おとぎ話を地でいく結婚式(18年)の熱狂が冷めた後、英メディアにいじめられてきたのは事実だが、気候変動問題について説教する一方で世界中を専用ジェット機で飛び回る夫妻の姿は単なる「偽善」を通り越している。 ===== それでもウィンフリーの前では被害者の仮面をかぶり、アメリカ政府の同情を買うことにも成功したようだ。しかし発言の多くは不正確で、大いに疑わしい。交際が深まるまで「夫のことをネット検索したことはない」などという言葉を、誰が信じるものか。 ウィンザー城での挙式の3日前に、実はカンタベリー大主教と夫妻だけで式を終えていたという話も、にわかには信じ難い。そもそも英国教会の規則では、式には少なくとも2名の証人の列席が必要とされている。 さらに、息子のアーチーに王子の称号が認められないことについて、「王族に初めて加わる有色人種の子に、ほかの孫たちと同じ称号を与えないとは......」うんぬんと当てこすった。ご冗談を。アーチーに王子を名乗る生得権はない。長男ウィリアムの子はHRH(殿下・妃殿下)の称号を持つ王子や王女だが、次男ヘンリーの子アーチーは違う。HRHを名乗れるのは王位継承の直系に生まれた王族のみとする1917年の明文規定は今も生きている。 そして王族の人種差別を非難したメーガンの発言。これは大問題だ。英連邦には23億の民が属するが、その多くはアジアやアフリカの人々だ。その頂点に立つ女王陛下が身内の人種差別を許すものか。 メーガンの話は、少なく見積もっても疑わしい。彼女の名演技や利己的な夫に、たぶらかされることなかれ。