<国際宇宙ステーション(ISS)で採取されたサンプルから、4種の菌株を分離し、そのうち3種は新種だった......> アメリカ航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)、南カリフォルニア大学(USC)、印ハイデラバード大学らの共同研究チームは、国際宇宙ステーション(ISS)で採取されたサンプルから、4種の菌株を分離した。 いずれも地球の土壌、淡水などに広く生息するメチロバクテリウム属に属し、そのうち3種は新種であった。一連の研究成果は、2021年3月15日、学術雑誌「フロンティアーズ・イン・マイクロバイオロジー」で発表されている。 「宇宙で植物を栽培するために有用な遺伝的決定基を持っている」 ISSでは、乗員のテリー・バーツ飛行士が2015年に施設内8カ所でサンプルを採取。そのうち、2015年3月に天井パネルで採取された「IF7SW-B2T」、同年5月に観測用モジュール「キューポラ」で採取された「IIF1SW-B5」、同年5月にダイニングテーブルで採取された「IIF4SW-B5」は新種であった。 遺伝子解析によると、いずれも「メチロバクテリウム・インディカム」の近縁種とみられる。また、2011年5月に帰還した使用済みのHEPAフィルターから分離された菌株は、既知種「メチロバクテリウム・ロデシアヌム」と同定された。 メチロバクテリウム属は、窒素固定や非生物的ストレス耐性、植物生長促進、植物病原体に対する生物的防除などに関与する。ゲノム解析により、新種の「IF7SW-B2T」は、植物の生長を促進する植物ホルモン「サイトカイニン」の生成に不可欠な酵素の遺伝子を有することも明らかとなっている。 研究論文の責任著者でNASAジェット推進研究所のカスツーリ・ヴェンカテーシュワラン博士は、「資源のわずかな極限環境で植物を栽培するためには、ストレス条件下で植物の生長を促す新たな微生物を単離することが不可欠だ」としたうえで、「これらの菌株は、宇宙で植物を栽培するために有用な遺伝的決定基を持っている可能性がある」と期待を寄せている。 「ISSには、ヒトの微生物叢を中心に、様々な細菌や真菌が存在する」 ヴェンカテーシュワラン博士の研究チームは、バーツ飛行士らが2015年から2016年にかけてISS内8カ所で採取したサンプルを分析し、2019年4月に「ISSには、ヒトの微生物叢を中心に、様々な細菌や真菌が存在する」との研究結果を発表している。 ヴェンカテーシュワラン博士は、今回の研究成果をふまえ、「ISSは清潔に保たれた極限環境だ。乗員の安全が最優先されるため、ヒト病原体や植物病原体の解明は重要だが、今回発見された新種の菌株のように、有益な微生物も必要だ」と述べている。