<メッセージや写真を投稿したSNSがサービス終了。よくある話題だが、そんな忘れていた過去の自分がまた蘇るとしたら?> 韓国ではここ数年「ニュートロ」と呼ばれる空前のレトロブームである。新しい(ニュー)+レトロでニュートロと呼ばれているが、この流行は韓国ドラマの題材からK-POPの音楽、さらにはファッションやデザインなどまで幅広い分野で反映されている。 そんなニュートロブームが、次に吹き荒れるであろうジャンルとして注目を集めているのが、レトロ「WEBサイト」の復活である。 ネット黎明期に大ブームとなったサイワールド 2000年代に韓国で青春を過ごした人なら、きっと懐かしく感じるであろう「サイワールド」。1999年9月に開始された韓国発のSNSであり、特徴としてはユーザーが自分好みにカスタマイズできるミニホームページであるという点だ。カメラ付きのガラケーやデジタルカメラが普及し始めた2003年前後には大ブームとなり3200万人が加入していたといわれている。 登録すると「ミニホームページ」と呼ばれるページが与えられる。このページを自分仕様に見た目から、バックで流れるミュージック、アバターの部屋などを好きなように変えられる。もちろん、カテゴリーも写真、文章、日記、掲示板など様ざまで、今でいうインスタグラムのように写真だけ投稿したり、ブログとして使いたいので文章だけ載せたり、欲張りに全部!など自分の目的に合わせてカスタマイズできるのも魅力だった。 見た目を変えたり、曲を購入するには課金が必要だった。筆者が通っていたソウル芸術大学のある教授が、実はこのサイワールドプロジェクトの一人だったらしく「課金の際、(韓国のお金の単位である)ウォンよりも、違う単位にした方が直接的じゃなくていいと思った」と、課金の単位を「ドトリ(どんぐり)」にした秘話を授業中に語ってくれた思い出がある。この頃、友達との間では、このどんぐりを送りあうことが大流行していた。 スマホの普及に取り残されて しかし、サイワールドブームも2012年前後から徐々に廃れていき、2020年には完全にサービスを終了してしまった。スマートフォンが一気に普及していくなかで、サイワールドがスマホに対応していなかったこと。そして、その間にユーザーの多くがフェイスブックに乗り換えてしまったことが原因とされている。携帯電話がまさかここまでスマホに取って代わってしまうと思わなかったのだろう。 スマートフォンの普及で閉鎖に追い込まれた韓国のレトロWEBサイトといえば「バディバディ」もその一つだ。これは、公式会員が最大時で4200万人を誇っていたというパソコン用メッセンジャーサービスで、ゲームや音楽ダウンロードも可能だった。 しかし、音楽ダウンロードもゲームもスマートフォンでできるようになると、わざわざパソコンで行う必要がなくなり、2012年5月にサービス終了してしまった。 ===== 両方とも、スマホ対応に乗り遅れたのが廃れた原因である。ところが今、この2サイトがスマホ対応で復活し再ブームを狙っているという。サイワールドは、先日5月に復活するという発表が行われた。バディバディもLINEやKakaoTalkがすでに定着しているなか、どのような戦略で復活をするのか楽しみである。 mixi最後にログインしたのはいつ? さて、今回のサイワールド復活の話が、当時20代だった同世代の韓国人友達との間で噂になり始めた頃、日本発のSNSであり同じく2000年代に一世を風靡した「mixi」を思い出した。 今、巷で話題となっている音声型SNS「Clubhouse」や、翌朝にならなければ見られない写真SNS「Dispo」などは、完全招待制度が注目を集めたが、mixiも開始当初は友人からの招待が無ければ会員になれなかったのだ(その後2010年には招待制は廃止されている)。 ちなみに、mixiは今でもログイン可能である。今回の韓国のレトロWEBサイトブームに乗っかり、筆者も久しぶりに日本版ニュートロ「mixi」にログインしてみた。 写真は、2011年から2015年まで「観た映画リスト」をこまめにアップしている。仕事上年間300本以上は観ているであろう作品のポスターと日付を全てアップしているとは、我ながらマメだなぁと感心してしまった。 そして、mixiといえば何といっても「日記」である。2006年の2月2日から2013年まで、最後は1年に数日しか書いていないものの、なんと7年分の日記が出てきた。 夢のため異国で必死にもがいていた7年前の自分 2014年4月14日には、韓国の国営放送局であるKBSから会社に電話がきたようだ。筆者が勤めていた映画配給会社で購入したアニメ映画を、KBSの映画紹介番組で放送してくれる予定だった。しかし、主人公が着物を着ているシーンがあり、これがセンサーシップに引っかかるらしく、編集しなくてはいけないとの連絡があった。日記の最後には「アニメでも着物はまだ放送NGなのね...」と締めくくっている。この当時、政治情勢的な事情や日本文化にまつわる規制もまだまだ多く、日記を見ているとそういった愚痴が多い。 さらに、会社のエピソードでは、2010年1月、なんと韓国海軍から電話が来る。海軍担当者が「そちらの会社で、ここ最近新人俳優や歌手などのオーディションなどは行いましたか?」 と電話口で尋ねてくる。「会社名に"エンターテインメント"が入っていますが、うちは映画の売り買いをする会社なので、俳優とかのエージェンシーではありません。」と説明する当時の筆者。 海軍担当者は納得したが、理由が気になったので「どうしたのですか?」と聞くと、「海軍から脱走者がでたのですが・・・彼が以前から芸能人になりたいと言っていたのです」 「そしたら昨日、彼名義の携帯の電源が○○区エリアで入ったので、このあたり一体のエンターテイメントの会社に片端から電話かけているところです」という回答。まさに、韓国の映画会社ならではのびっくりエピソードである。 結局、自分の日記が懐かしく2時間近く遡って読みふけってしまった。外国人として韓国という異国で、映画という自分の夢をかなえるために必死でもがき、状況にしがみついてでも付いていこうとする当時の自分と対面し、愛おしく感じた。 日記とは、こうして読み返すために書いておくのかもしれない。小さな悩みも、仕事の愚痴も、失恋の悲しみも、文章にぶつけている自分がいじらしく、タイムマシーンに乗って「大丈夫だよ、この後何とかなるよ。この後笑い話になるよ」と語りかけてあげたい気分だ。 サイワールドが復活した暁には、当時の写真もザクザク出てくることだろう。どんな自分に再会できるのか、復活予定の5月が今から楽しみである。 ===== 韓国ネチズン騒然、サイワールド復活 新しい運営会社は、サイワールドで使われた仮想通貨の「ドトリ(どんぐり)」をビットコインのような本当の仮想通貨として流通させようと計画しているという。 JTBC News / YouTube PCメッセンジャー「バディバディ」の人気の秘密は? バディバディの人気の秘密はIDにハングルを使えたところが大きい。そこで当時のユーザーにIDを聞いてみると...... SUBUSU NEWS / YouTube