<新型コロナ感染症の拡大で世界中で打撃をうけている観光業。現在の状況でも、世界各地でさまざまな工夫をこらした観光プランが行われている......> 国連世界観光機関(UNWTO)によれば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた2020年、国外への観光客は74%減少した。国際線利用者数は、前年と比べ10億人減だ。この未曾有の危機にあたり、世界各地の観光業ではそれぞれさまざまな打開策を模索している。その中から最近のものをいくつか紹介しよう。 タイ政府による「ゴルフ隔離」プラン タイ保健省コロナ緊急対策センター(EOC)は、入国した渡航者が2週間の隔離期間をゴルフリゾートで過ごす「ゴルフ隔離」プログラムを発表している。隔離中は毎日医師の検診を受け、2週間で合計3度のPCR検査がある。ゴルフ場施設外には出ることはできないが、好きなだけゴルフを楽しめるというものだ。 ロイター通信のインタビューに答える隔離中の韓国人ビジネスマンは「ここはゴルフ天国だ」と満足げだ。2週間の費用は249万ウォン(約24万円)。ゴルフクラブのソウルでの運営責任者によれば、この「ゴルフ隔離」パッケージへの問い合わせは急増中で、2020年2月から停滞していたビジネスがようやく動き始めたと、内外の期待を集めている。EOCは、このプランに利用できる5つのゴルフ場を発表している。 Thailand's 'golf quarantine' welcomes South Korean travellers . 寄港地のないクルージング イギリスのP&Oクルーズは、今夏6月27日から9月18日にかけて、「目的地のないクルーズ旅行」を企画している。参加資格があるのは、イギリス居住者のみで、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を済ませた人のみ対象となる。出発地はサウサンプトンで、出発日時によって、3泊~6泊のツアーの選択肢があるが、航行ルートははっきりと決まっていない。というのも、寄港地があるわけではなく、すべて船上だけで過ごすプランなのだ。そのツアーの日程にあわせて、晴天で快適な天候の地域を目指し、船上から海岸線や島々の美しさを眺めるという。船の上では、グルメ体験のほか、プール、ショッピング、スパなどの施設を楽しめるというツアーだ。 また、CNNによれば、ロイヤル・カリビアン社もまたワクチン接種者を対象としたクルーズ旅行を計画している。こちらは5月にイスラエル出発で、ギリシアの島々とキプロス島を目的地としている。乗客も乗組員もワクチン接種者のみとする傾向は、今後さらに他のクルーズ会社にも広がると思われる。 P&O Cruises: No vaccine, no cruise! ===== モルモット?...... 安全なのか試してみるツアー オランダの旅行会社サンウェブは、このコロナ禍の「実験」と位置付ける8日間のギリシア、ロードス島へのテストツアーを4月に開催予定だ。現状で完全に安全に観光できるか試す、という意味合いで「実験」とし、参加者を募集している(キャピタル誌)。通常ならば399ユーロのツアーだが、参加料は無料。すでに2万5千人が名乗りをあげているという。参加者は、出発前と、帰りの便の搭乗72時間前、また空港で3度のPCR検査を受けることになる。ツアー中は、プール、ビュッフェなどは楽しめるが、オプショナルツアーや海辺、博物館見学などはできない。また、万が一ツアー中に感染者が出た場合は、同社が費用を負担する予定だ。 世界各国でワクチン接種が徐々に広まっているとはいえ、感染が落ち着いたとは言えないコロナ禍の中、万全の感染対策を取ればツアー旅行も可能なのか......世界各地で観光業者のさまざまな模索が行われている。