<太平洋南西部ナウル島から約400キロ南の上空にある雲で、観測史上最低のマイナス111.2度が観測された...... > 太平洋上空で形成された雲で、これまでにない低温が観測されていたことが明らかとなった。 2018年12月29日、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の地球観測衛星「NOAA-20」に搭載された可視赤外撮像機放射計(VIIRS)により、太平洋南西部ナウル島から約400キロ南の上空にある雲で、観測史上最低のマイナス111.2度が観測された。 雲頂が成層圏に達して、記録的な低温に 大気の最下層をなす対流圏では、高度が上がるにつれて気温が低下し、熱帯域でマイナス90度にも達する。雷雲や熱帯低気圧は高度18キロにまで発達して、雲頂が低温になるが、非常に強力であれば、対流圏を突き抜け、成層圏に達して、さらに冷やされる。この現象を「オーバーシュート」という。 イギリスの国立地球観測センター(NCEO)の研究チームが2021年3月22日に学術雑誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ」で発表した研究論文では、「この雲はオーバーシュートして、雲頂が高度20.5キロに達し、マイナス111.2度という記録的な低温となった」と結論づけている。 雲の極低温は近年、頻繁にみられるようになった このような雲の極低温は近年、より頻繁にみられる。アメリカ航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星「アクア」に搭載された中分解撮像分光放射計(MODIS)が2004年から2020年までに観測したデータを研究チームが分析したところ、この期間中に観測された極低温のうちの半数が2017年から2020年に観測されたものであった。 雲の低温がなぜ頻繁に観測されるようになったのか、現時点で明らかになっていない。研究論文の筆頭著者で国立地球観測センターのサイモン・プラウド博士は、「低温の雲による雷雨はより猛烈になりやすく、雹や稲妻、強風によって、人々に被害をもたらすおそれが高まる」と警鐘を鳴らすとともに、「これが気候変動によるものなのかどうか、解明する必要がある」と指摘している。