<台湾海峡や南シナ海で軍事行動を活発化させるアメリカに対し、中国軍も不穏な動きを見せている> 緊張感が高まる台湾海峡を4月7日、米軍の駆逐艦が通過した。米海軍がこの発表を行った数時間前には、中国の軍用機15機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したことを台湾政府が明らかにした。 ジョー・バイデンがアメリカ大統領に就任してから、米海軍ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が台湾海峡を通過するのは2度目、ほかの駆逐艦も合わせると4度目となる。さらに現在、米海軍の「セオドア・ルーズベルト」空母打撃軍が南シナ海で戦闘演習を実施している。一方、中国海軍の空母「遼寧」も太平洋に配備されている 米海軍第7艦隊は声明で、アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦であるジョン・S・マケインは、「4月7日(現地時間)、国際法に従って国際水域を通過する恒例の台湾海峡通過を行った」発表。さらに、「この船の台湾海峡通過は、自由で開かれたインド太平洋に対するアメリカのコミットメントを示すものだ。米軍は今後も、国際法で認められている場所であればどこであれ、飛行、航行、活動を続ける」と続けた。 中国の国営報道機関は今回の台湾海峡通過について、米中の緊張が高まる中でのさらなる挑発行為と非難。中国人民解放軍はジョン・S・マケインを「終始」追跡していたと述べている。 人民解放軍東部戦区の報道官を務める張春暉は「米軍の駆逐艦による行動は、『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送る。地域の問題に意図的に干渉し、台湾海峡の平和と安定を脅かすものだ」とコメント。中国はこの軍事作戦に「強く反対している」とした。 一方の台湾は、ジョン・S・マケインの通過時に、台湾周辺の空と海を監視していたと述べた。台湾国防部によれば、ジョン・S・マケインは台湾海峡を南から北に向かって航行したという。 その数時間前には、戦闘機や偵察機を含む中国人民解放軍の軍用機15機が、台湾のADIZに侵入したと台湾国防部は報告している。5日以降、台湾のADIZに侵入した中国の軍用機は合わせて29機となった。 この侵入行為が、ジョン・S・マケインの台湾海峡通過と関連していたかどうかは不明だ。しかし専門家によれば、台湾とアメリカが水面下でやりとりを行っているとき、あるいは両国の結びつきが深まっていると受け止められるときには、中国による台湾ADIZへの侵入が急増する傾向にあるという。 ===== ジョン・S・マケインは米軍艦としてバイデン政権で初めて、中国と台湾を隔てる不安定な海峡を2月に通過した。台湾や日本を含む近隣諸国が中国の軍拡政策への懸念を強める中で、バイデンが地域の安全と安定を重視する姿勢を示したと、専門家たちには捉えられている。 それぞれ2月と3月に行われた米海軍のミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」と「ラッセル」の台湾海峡通過に対しても、中国政府は同様の非難を表明した。 また、米海軍による他の地域での活動についても「力の誇示」と批判している。複数の報道によれば、米海軍の空母セオドア・ルーズベルトは、マレーシア空軍との合同演習を6~7日に控えた4日、空母打撃軍とともに南シナ海に戻っている。 中国海軍の関係者は5日、空母遼寧が率いる小規模な編成タスクグループ(任務群が、「台湾近くの海域で」演習を実施していると述べていた。遼寧は、中国初の戦闘能力を持つ空母であり、現在は遠洋訓練のため太平洋に配備されている。 今回の米海軍による台湾海峡通過は、遼寧が台湾の東側で行った演習を受けたものなのかという質問を受けた米国防総省の報道官ジョン・カービーは、「我々が世界中で実施する『航行の自由』作戦は、特定の出来事や、他国の特定の行動に対応するためではない」と否定した。 「我々が国際法と、すべての国が国際法に従って航行、活動、飛行する自由について、どれほど強く信奉しているかというメッセージを送るためだ」 カービーは、さらにこう続けた。「海洋の自由は、魚や氷山のためだけに存在するのではない。この作戦を行う目的は、まさにそうした概念を強化することにある」