<1日のコロナ感染が31万人超と世界最多を更新したインドのニューデリーは、病院の酸素が底をつき、路上で火葬が行われる終末の様相を呈している> 新型コロナウイルスの感染第2波が猛威をふるっているインドでは、ニューデリーの高等裁判所が4月21日、患者の命を守るために工業用酸素を医療に転用すべきとの判断を下した。 AP通信によれば、ニューデリーの病院が行った申し立てに対して高等裁判所の判事たちは「酸素がなくて患者が死ぬなどということがあってはならない。これは国家の緊急事態だ。拝むか、借りるか、あるいは盗んででも酸素を用意すべきだ」との見解を示した。 ニューデリーの酸素不足を訴えるリポート。毎日届くはずの酸素が届かないため、病院スタッフや医師があちこちで調達してきた工業用酸素シリンダーを徒歩で運び込む。 インドでは22日、新たに31万4000人の感染者が報告され、1日あたりの世界最多を記録した。医療体制がひっ迫し、医療物資も足りない。インド保健省によれば、直近の24時間で2104人が死亡し、死者数の合計は18万4657人にのぼっている。 AP通信は、ウッタルプラデシュ州の州都ラクナウにある主な火葬場では、4月18日だけで200体近くの遺体を受け取ったと報じた。シェカー・チャクラボーティー(68)は、「至る所に遺体があって、歩道で遺体の火葬が行われていた。これまでの人生で、こんなに多くの遺体を見たことはなかった」と語った。 火葬場の外に遺族が行列 さらにAP通信によれば、以下の通りだ。 ニューデリーをはじめとする各都市では、ロックダウンや厳しい制限が導入され、多くの人が痛みや恐怖、苦しみに直面している。 各地の病床不足は深刻で、救急車が病院をたらい回しになる光景はおなじみだ。火葬場に届く遺体の数は以前の何倍にも跳ね上がり、火葬場の外には嘆き悲しむ親族が列をなしている。 バンガロールにあるシャンティ病院&研究センターのサンジェイ・グルラジ博士は、「毎日、病床の空きを探している患者たちから電話がかかってくる。需要が供給をはるかに上回っている」と述べ、こう続けた。「日々、病床の確保に奔走しているが、彼らを助けることができないのは本当につらい。この1週間で、私の患者3人が入院できずに自宅で亡くなった。医師として、最悪の気分だ」 ウッタルプラデシュ州北部に住むヨゲシュ・ディクシットは、今週に入ってから父親のために、通常の倍以上の価格(1本あたり160ドル)で酸素ボンベを2本購入した。ラクナウにある公立病院は、酸素の在庫が尽きてしまったのだ。費用を捻出するために妻の宝石類を売らなければならなかったという。 Terrible news coming in from Nashik in Maharashtra. 22 people have died in the Municipal hospital after Oxygen Gas Leak. 23 people were on ventilator. pic.twitter.com/fk90a6AzFw— Aditya Raj Kaul (@AdityaRajKaul) April 21, 2021 インド西部のマハラシュトラ州では、酸素漏れのために人工呼吸器につながれた患者22人が窒息死する悲惨な事故もあった(4月22日) 同州のカンプールでは、ガンジス川沿いの山道に35の臨時火葬場が設けられた。 インドの保健省は、同国で1日に生産される酸素7500トンのうち、6600トンを医療用に充てている。また首都ニューデリーでは鉄道の客車75両を病棟に転用し、新型コロナウイルスの感染者向けに1200の病床を提供しているという。