<ジョンズ・ホプキンズ大学の実験で、1歳の乳児でも非論理的なことを「おかしい」と気付けることが明らかに> 赤ちゃんは言葉を話す前から論理的な思考をしている。そんな驚くべき研究結果が発表された。 科学誌サイエンスに掲載されたジョンズ・ホプキンズ大学チームの論文によれば、赤ちゃんは論理学で言う「選言的三段論法」で考えている。「AかBが真で、Bが偽なら、Aが真である」という論法だ。 もちろん言葉でこんなロジックを展開できているわけではないが、赤ちゃんの頭の中ではこんな推論が行われているらしい。だとすれば、論理的な思考ができるのは7歳以降とした発達心理学者ジャン・ピアジェの「認知発達段階」説が覆されることになる。 研究チームは1歳から1歳半の乳児48 人を対象に実験を行った。この時期には言語能力の発達が始まるが、まだ1つの単語で簡単な意思表示ができる程度だ。 認知障害の診断に応用できる可能性も 実験では乳児に単純なアニメーションを見せる。画面には2つのアイテム、例えば花と恐竜が表示される。次にこの2つがバリアーで隠され、続いて画面にカップが現れて、どちらか1 つ、例えば恐竜をすくい取る。バリアーが外されると、花だけが残っているはずだ。もしも恐竜が残っていたら、論理的に考えておかしい状況ということになる。 言葉を話せない赤ちゃんの知的能力を調べる実験では、眼球の動きを追跡する方法がよく使われる。この実験でもその方法が採用され、非論理的な結果が示されたときには子供たちは画面をより長く見つめることが分かった。つまり「おかしいな?」と思っているということだ。 さらに研究を積み重ねれば、この発見は乳幼児期における認知障害の診断に応用できるかもしれない。今後は「乳幼児や大人、人間以外の動物に共通する初歩的な論理能力を突き止め、その能力を土台に、より高度な論理的思考が形成されるプロセスを探る研究が精力的に進む」と、研究チームはみている。 「多くの親や幼児教育の専門家が気付いていたことが確認された」と、言語療法士のマイケル・ジョーンズは言う。「子供の行動を見ていると、言葉が話せない段階でも、ちゃんと物事を考えていることが分かる。そうした土台をうまく伸ばしてやることで数学的な思考が育つのだろう」