<それも乗客だった反体制派ジャーナリスト一人を拘束するため、という身勝手さ。欧米諸国からは非難の嵐、厳しい対応の可能性も> リトアニアに向けてベラルーシ上空を通過していた民間旅客機が23日、ベラルーシ当局によって強制着陸させられ、反体制派活動家の乗客が逮捕された問題を巡り、国際社会から非難の声が上がっている。 ギリシャのアテネ発、リトアニアのビリニュス行きのライアンエア機に乗っていて、ベラルーシ当局に身柄を拘束されたのはジャーナリストのロマン・プロタセビッチ(26)。暗号化メッセージアプリ「テレグラム」内のチャンネル「NEXTA」の運営に関わっていた人物だ。ベラルーシでは昨年8月の大統領選でアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が6度目の当選を決めたが、これに対し不正があったとして大規模な抗議運動が発生。デモなどの状況を報じたことで知られるのがNEXTAだ。 プロタセビッチは現在、リトアニアを活動拠点に、テレグラムの別のチャンネルの運営に関わっている。 ライアンエア機の強制着陸を受けてアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は23日、「ルカシェンコ政権が犯したこの衝撃的な行為により、アメリカ国民を含む120人を超える乗客の生命が危険にさらされた」と非難するとともに、プロタセビッチの釈放を求める声明を出した。 また、ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は、強制着陸は「ハイジャック」であり「言語道断な国家テロ行為」だと述べた。 嘘の「安全上の脅威」で着陸を指示 欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長も「まったく容認できない」とベラルーシを非難した。 フォンデアライエンはツイッターで「すべての乗客が即時にビリニュスへの旅を続行できなければならないし、身の安全も保障されなければならない。いかなる形であれ国際空運のルールを破れば、責任を取らなければならない」と述べた。 問題のライアンエア機はベラルーシ上空を通過してリトアニアに入るところだった。ロイター通信によれば、ベラルーシ当局は「安全上の脅威の可能性」について警告してきたという。そこで同機は方向を変えてミンスクに着陸。すべての乗客は降ろされ、プロタセビッチは「過激主義」と大規模な暴動を扇動した容疑で逮捕された。 「EU内のライアンエア機のフライトがミンスクに向けて方向転換させられた件について、そしてジャーナリストが逮捕されたとされる件について、われわれは即時の説明をベラルーシ政府に求めなければならない」と、ドイツのミゲル・ベルガー外務次官はツイッターで述べた。 イギリスのドミニク・ラーブ外相はツイッターで「憂慮」の念を示すとともに、「われわれは同盟国と連携している。ルカシェンコによるこの奇異な行為は、重大な結果をもたらすだろう」と述べた。 ===== フランスのジャンイブ・ルドリアン外相もツイッターで、強制着陸とプロタセビッチの逮捕のいずれも「容認できない」とベラルーシを非難するとともに、欧州諸国は「断固として足並みをそろえた対応」を取る必要があると述べた。 「いかなるベラルーシ反政府派も含め、このフライトのすべての乗客は遅延なく空港を飛び立つことを認められなければならない」とルドリアンは述べた。 リトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領はプロタセビッチの釈放を求めた。 「私はNATOとEUの同盟諸国に対し、国際民間航空をベラルーシ政府が脅かした問題に即時に対応するよう求める」とナウセーダは述べた。 ルカシェンコは1994年に初当選、「欧州最後の独裁者」の異名を持つ。昨年の大統領選の公式結果では80%を得票したとされているが、政府が投票結果をねつ造したと考える多くの国民が抗議デモに参加した。欧米諸国も「選挙は自由でもなければ公正でもなかった」と、反政府派の主張に同調した。 そしてテレグラムは反政府派の人々にとって欠かせない情報源となった。政府はデモ参加者を厳しく取り締まり、多くの活動家が逮捕されたり投獄された。 =====