<自分の政敵を拘束するために民間航空機をハイジャックしたベラルーシのルカシェンコの後ろ盾は、独裁者仲間のあの人> ベラルーシ当局は5月23日、領空を飛行中だった旅客機を緊急着陸させ、乗っていた反体制派ジャーナリストのロマン・プロタセビッチを拘束した。国際社会からは一斉に非難の声があがっているが、隣国のロシアは異なる見解を示した。 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は24日の会見で、「(緊急着陸させたことは)完全に妥当だと考える」と述べた。「ベラルーシ外務省はこの措置について、透明性を確保し、あらゆる国際法に従う用意があると強調した」 5月23日、ギリシャからリトアニアに向かって飛行中だったライアンエアー旅客機は、ベラルーシのミグ29戦闘機に先導され、ベラルーシの首都ミンスクに強制着陸させられた。 透明性のある説明とは ベラルーシ大統領官邸の発表によると、この旅客機に爆弾が仕掛けられた可能性があるという情報を得て、ウラジーミル・プーチン露大統領の長年の盟友で「ヨーロッパの最後の独裁者」と呼ばれるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領自らが着陸を命じたという。ベラルーシ国営メディアは、旅客機を強制着陸させる以外当局に選択肢はなく、着陸後はプロタセビッチを逮捕するしかなかったと報じている。 拘束後、自白を強要されたとみられるプロタセビッチ。起訴されれば死刑もありうる 同国警察によると、機内で爆発物は発見されなかった。 プロタセビッチは、情報やニュースを共有できる暗号化メッセージアプリ「テレグラム」上で運営されている反体制派メディアチャンネル「ネクスタ(NEXTA)」の共同創業者で元編集者。ネクスタは、反ルカシェンコ政権を訴える抗議デモを組織する手段として広く知られている。プロタセビッチはポーランド在住で、事件があった時はベラルーシを飛び越えてリトアニアに向かう途中だった。 ベラルーシ国営テレビは、プロタセビッチが乗っていることを当局は知らずに着陸を命じたとしている。 ラブロフの会見前、ロシア下院議員レオニード・カラシニコフは、ベラルーシには、国の安全を脅かす脅威に対処するため「適切かつ必要だと考える方法」を選ぶ権利があると述べた。 ロシア国有通信社RIAノーボスチによれば、カラシニコフは「ベラルーシは独立国家だ。安全が脅かされていると判断したのなら、その脅威と戦わなくてはならない」と述べたという。 ラブロフは国際社会に対して、「事態を冷静に判断するよう」呼びかけたが、アメリカ、イギリス、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、国連は一致してルカシェンコの行為を非難し、国際調査の実施とプロタセビッチの解放を求めた。 ===== アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンは23日、「ルカシェンコ政権による衝撃的な行為は、アメリカ国民を含む120人以上の乗客の生命を危険にさらした」と述べた。 イギリス政府は24日、プロタセビッチの拘束に憤りを表明し、イギリスの航空会社すべてに対してベラルーシ上空の飛行を禁じた。ベラルーシ国営航空会社ベラビアに対しては、イギリス便の運航許可を停止した。 アイルランドに拠点を置くライアンエアーのマイケル・オライリーCEOは今回の緊急着陸について、「国家主導のハイジャック行為」だと非難した。 国際社会がベラルーシに浴びせた激しい批判について、ロシア政府は強く反発している。 ロシア外務省の報道官マリア・ザハロワはフェイスブックに、「西側諸国がベラルーシ領空内での出来事を『衝撃的』だと言っていることこそ衝撃的だ」と投稿、西側諸国もこれまで、自国の安全保障のために同様のやり方をしたことがあると次のように指摘した。 「2013年には、ボリビアのモラレス大統領が乗っていた航空機がアメリカの要請でオーストリアに緊急着陸を余儀なくされた(編集部注:元CIA職員エドワード・スノーデンが搭乗しているという疑いから。スノーデンは見つからず、モラレスはアメリカを非難した)。またウクライナでは、親欧米派の政権に反対する活動家の乗ったベラルーシの航空機が、離陸後11分で緊急着陸させられたことがある」と述べた。 「インターネット上には、『平和や道徳を守る番人』たちが犯した暴力的な拉致事件や緊急着陸、不法逮捕がすべて、記録として残っている」と、ザハロワは述べた。 (翻訳:ガリレオ) =====