<彼らは何を求め、どこへ行くのか。1年で地球の2周近い距離を移動する鳥など、人生をかけて旅する動物たちを紹介> 新型コロナのワクチン接種を終えたら遠くへ行きたい。列車に揺られ、車窓の景色を楽しみたい。でも動物たちは今も、生きるために信じ難いほどの距離を旅している。3世代懸けて移動するトンボ、ヒマラヤ山脈を越える鳥、大海原を行くクジラ。みんな「渡り」の名手だ。 ===== 01. コククジラ バハ・カリフォルニア(メキシコ)→ベーリング海 DOESCHER/ISTOCK 体重40トンにもなるこのクジラは毎年、野生の哺乳類としては最も長い距離を移動している。メキシコの太平洋岸で生まれ、夏には冷たい水と餌を求めて北上し、アラスカ沖のベーリング海まで。帰路を含めると1万6000キロもの回遊になる。 ===== 02. アメリカギンヤンマ 北米大陸 DON FARRALLーPHOTODISC/GETTY IMAGES このトンボは、親から孫まで3世代で1つの移動周期を完結させる。まず、春には第1世代がカナダやアメリカ北部へと移動。秋には次の世代が、時にはメキシコまで南下する。第3世代はここで冬を越し、産卵して次の世代に遺伝子を伝える。 ===== 03. オオカバマダラ 北米大陸 CHRIS CLOR/GETTY IMAGES こちらも世代間リレーで大移動を達成する。北のカナダで生まれたら、ひたすら南の米カリフォルニア州やメキシコを目指して飛ぶ。卵・幼虫・さなぎの時期もあるから、飛べるのはだいたい10月から3月下旬まで。気流の助けを借りて約4800キロを旅する。 ===== 04. キョクアジサシ 北極圏→南極圏 REED KAESTNERーCORBIS/GETTY IMAGES 地球上のあらゆる生物で最長となる約7万1000キロを移動する。北半球のグリーンランドと南の果ての南極大陸を行ったり来たりしているから、同じ年に夏を2回も過ごすことになる。誰よりも長く太陽の光を浴びている動物だ。 ===== 05. ストローオオコウモリ アフリカ各地→ザンビア RICHARD PACKWOODーPHOTODISC/GETTY IMAGES 距離はともかく、渡る個体の数がすごい。推定で800万~1000万匹。アフリカ全土から食料(果実)を求めてザンビアのカサンカ国立公園に飛んで来る。食べた果実の種は、帰路に排泄を通じて各地にばらまかれ、おかげで生態系が維持されている。 ===== 06. ワイルドビースト タンザニア GLOBALP/ISTOCK タンザニアのセレンゲティ国立公園などに生息するカモシカの仲間。毎年150万頭以上が季節に応じて巨大な輪を描くように移動する。陸上の哺乳類では最長の移動距離で、アフリカの七不思議の1つとされる。 ===== 07. アトランティックサーモン ノルウェー→アイスランド JAKUB RUTKIEWICZ/ISTOCK 生まれはノルウェーの清らかな川の淡水域だが、成長すると海に出て、遠くアイスランド沖まで移動する。やがて繁殖の時期を迎えると、強い嗅覚と地球の磁場を頼りに生まれた川へ戻ってきて、上流まで遡上する。 ===== 08. インドガン インド→ロシア LENSALOT/ISTOCK こんなに高いところを飛ぶ渡り鳥はほかにいない。ヒマラヤの上空は酸素が薄いから、そこを飛ぶには信じられないほどのエネルギーが必要なはずだ。冬はインドで餌を食べて体力を蓄え、夏には繁殖のため、遠くロシアやモンゴルまで飛んで行く。 ===== 09. オサガメ 大西洋個体群:カリブ海→アメリカ東海岸→カナダ 太平洋個体群:インドネシアやマレーシア→カリフォルニア→アラスカ MARK CONLINーVW PICSーUIG/GETTY IMAGES 地球上で最も長い距離を移動する動物の一種だ。大西洋と太平洋の両方に個体群が存在する。餌となるクラゲを探しながら営巣地から繁殖地に移動するので、年間の移動距離は最長で1万6000キロにも及ぶ。