<権威ある学会誌に発表された論文(しかも査読済み)は、白人性とは寄生性のある暴力的な病で根治不可能と主張。白人が怒るのは当然?> 5月27日に発行された米国精神分析学会誌(隔月発行)に掲載された、査読済みのある研究論文が、「白人性」とは「悪質で、寄生性のある病」だと説明した。この表現をはじめ、論文に含まれる複数の文言が多くの人の怒りを買い、ソーシャルメディア上で著者に対する反発の声があがっている。 「On Having Whiteness(『白人性について』)」と題されたこの論文の著者は、ドナルド・モス博士。ニューヨーク精神分析研究所とサンフランシスコ精神分析センターの両方に所属する白人男性だ。 モスは論文の中で、白人は、「宿主を貪欲で際限なくよこしまにする寄生性の病」にかかりやすいと指摘した。この病にかかると征服することを特権と感じ、「果てしない権力や限りない影響力、容赦ない暴力」をふるい、「恐怖による」支配欲求が増幅する、ともいう。 彼は以前にも「白人性」についての自説を披露しており、2019年には南アフリカ精神分析学会の総会で行った演説の中で、白人性とは寄生性のある病だと主張。ニューヨーク精神分析協会および研究所と、ニューヨーク現代精神分析研究センターで行った講義でも同様の主張を展開した。 「白人に対する人種差別」か モスは心理学について複数の著書があり、秋には彼が監修を務めた小論文集「憎悪、嫌悪と破壊願望:いま起きていることについての精神分析的小論文」が発行される予定だ。また、「気候変動問題とその否定」に関する研究グループを自称する「グリーン・ギャング」の創設メンバーでもある。 ツイッター上では、モスの論文に対する怒りが噴出。「こんな人種差別主義者の胸糞悪い主張は非難されるべきだ」「自分も白人である著者が、学術的な厳密さを追求しているふりをしているだけだ。精神分析の専門誌なんてこんなものだ」などのコメントが殺到した。 心理学者のフィリップ・ペレグリノ博士はモスの論文について、「私たちは、いったいこの研究をどう捉えるべきか? 真に受ける人間がいるのか?」とツイートした。 How do my colleagues consider this scholarship? Anyone actuality take this seriously? #science #psychology On Having Whiteness - Donald Moss, 2021 https://t.co/MTsfaj9DUU— Dr.PhilipPellegrino (@DrPhilipPellegr) June 8, 2021 モスは論文の中で、白人性は「個人の保護や民主主義の原則に基づいて形成された集団をも簡単にむしばむ」と述べ、この白さという病には治療が必要だと主張した。 ===== 「効果的な治療は、精神的な介入と社会的・歴史的な介入を組み合わて行う。こうした介入を行うことで、白さにむしばまれた欲求の、ある程度の再形成を目指すことは可能だ。欲求を弱め、欲求の目的を仕切り直し、時にその目的を償いや修復に向けさせることができるだろう」と、モスは論文の要約の中で述べ、こう続けている。「(白人性という)慢性的病によってもたらされたダメージは、それが改めて認識されれば、警鐘としても誘惑としても機能し得る」 つまり、治療をしても「再び悪化しない保証はない」し、「根治する方法はまだない」というのだ。