<『キャッツ』や『オペラ座の怪人』など、大ヒット・ミュージカルの作曲家のアンドリュー・ロイド・ウェバーは、新型コロナの規制下でも、新作を開演する意向を明らかにした> コロナ再燃の英国、21日の規制緩和は絶望的? 『キャッツ』や『オペラ座の怪人』など、大ヒット・ミュージカルの作曲を担当したことで知られる作曲家のアンドリュー・ロイド・ウェバーはこのほど、新型コロナウイルス感染症対策の規制下でも、対人距離の制限をなくして新作を開演する意向を明らかにした。イングランドでは現在、新型コロナウイルスの感染予防策として、大規模の劇場は収容人数を半減させての公演が求められている。 ウェバーは、英テレグラフ紙との独占インタビューに答え、規制違反で逮捕されることも辞さないと発言した。6月25日から上演予定の新作『シンデレラ』について述べたもので、2018年に本格的に準備を始めたという本作品は、新型コロナがなければ昨年8月に開幕していたはずだった。 イングランドは現在、新型コロナウイルスの感染予防として英政府が定めた「ロックダウン解除までのロードマップ」の「ステップ3」にいる。5月17日以降、屋内イベントについては、観客を半減させるか最大1000人までに抑える(劇場のサイズによって、少ない方の数字を適用)の運用のみが認められている。しかし英スカイニュースによると、この状態で上演しても経済的に存続できないため、ほとんどの劇場は閉鎖しているのが現状だという。 イングランドでは、早ければ6月21日にはステップ4に移行して、すべてのロックダウン規制が解除される予定だった。しかし感染者数は再び増加傾向に転じており、6月9日には2月以来最多の感染者数となる7540人を記録した。ワクチン接種は順調に進んでいるものの、こうした状況から、ステップ4への移行は7月5日まで2週間延期されるとの見方が強まっている。 「劇場まで逮捕しに来い」 ウェバーはテレグラフに対し、自身の置かれた状況を「強烈な財政難」と描写した。ウェバーは、ロンドンの劇場街ウェスト・エンドに6軒の劇場を保有しているが、これらを閉鎖した状態で維持するだけで、月100万ポンド(約1.5億円)かかるという。そのため、ロンドンの自宅を抵当に入れて借金をしている状態であり、このままだと劇場を手放さざるを得ないと語っている。 さらに、新作『シンデレラ』には600万ポンド(約9.3億円)を投じており、収容人数を半減させての公演では、投資額を回収できないと説明する。そのため、「何があっても開演する」と言い、テレグラフの「政府が延期を要請してきたらどうするか」との問いには、「劇場まで逮捕しに来い、と言う」と答えた。 ウェバーはさらに、劇場が新型コロナのウイルスを介する事実はないと主張している。「科学的な検証結果を見た。これらはすべて、劇場が完全に安全で、ウイルスが運ばれることがないと証明するものだった」と述べた。 ===== 具体的にどの検証結果についてか、ウェバーはテレグラフに対し明かさなかったが、政府の調査であることを示唆していた。また、6月2日付のデイリーメールとのインタビューでは、英政府が5月に行った、大規模イベントの実証実験「イベンツ・リサーチ・プログラム」が成功したことを指摘していた。 この実証実験は、ワクチン接種が順調に進んでいることを受けて、英政府が5月、大規模イベントでの感染リスクを調べるために行ったものだった。英国最大級の音楽賞であるブリット・アワードや、サッカーFAカップ決勝戦、ナイトクラブなどで、マスクなしの観客を対人距離の規制なしで入れて調査した。 5月20日付テレグラフは、実験の結果として、イベント前の陰性証明や換気の改善など感染予防策を徹底することで、大規模イベントが開催できると報じていた。5万8000人が調査プログラムに参加し、感染者数は「わずか15人だった」という。 ロックダウン規制が6月21日に解除されるか否かについては、ボリス・ジョンソン首相が6月14日に発表する見通しだ。 2020年9月、Andrew Lloyd Webber on theatre closures: We are at the point of no return