<カリフォルニア大学アーバイン校の研究によると、アリゾナ州、カリフォルニア州、メキシコにわたって砂漠地帯の植生が減少していることが明らかになった> 気候変動により、米アリゾナ州、カリフォルニア州、メキシコにわたって広がるソノラ砂漠の植生が減少傾向にあることが明らかとなった。 カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームは、地球観測衛星ランドサットの衛星画像を用いて、メキシコハマビシ、ユッカ、オコチョウ、メスキートといった低木が生息するアンザボレゴ砂漠州立公園を含む、カリフォルニア州南部の127万ヘクタールを対象に、植生の変化を分析した。対象エリアにはコロラド砂漠の一部とソノラ砂漠の一部に加え、ラグナ山脈、パロマ山脈、サンタロサ山脈といった半島山脈も含まれている。 砂漠植物は干ばつに強いが、すでに生息可能な限界にあった 学術雑誌「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ」(2021年6月号)で掲載された研究論文によると、1984年から2017年までの34年間で、植生の分布状況や活性度を示す「NDVI」(正規化植生指数)が大幅に下がり、植生の減少が顕著となった。 対象エリアの87.1%で「NDVI」が減少傾向にあり、低地砂漠で約35%、山地で13%の植生が減少している。研究論文の筆頭著者でカリフォルニア大学アーバイン校のスティン・ハンソン研究員は「植物は枯れつつあり、これに置き換わるものはない」と警鐘を鳴らす。 研究チームは気候データと「NDVI」との関連を分析し、「砂漠での植生の減少は、人為的な気候変動と関連した気温上昇に伴う降水量の変動が原因ではないか」と考察している。 砂漠植物は干ばつに強いため、気候変動にも耐えられるとの希望的観測もあったが、すでに生息可能な限界にあり、環境がより極端に変化すれば、砂漠植物に害が及ぶおそれがある。 乾燥地は地球の陸地の40%を占める アメリカ南西部の乾燥地域では、これまでも干ばつによる植生の減少が確認されてきた。アリゾナ大学らの研究チームが2005年10月に発表した研究論文によると、2002年から2003年にわたる干ばつとキクイムシの蔓延により、南西部の森林でピニョン松などの上層木の90%以上が枯れた。 2010年12月に発表された研究論文では、干ばつにより、メキシコハマビシなど、ソノラ砂漠やモハーヴェ砂漠で生息する低木の多くが枯れたことが示されている。 地球の陸地の40%を占める乾燥地で生息する植物に気候変動がどのような影響を及ぼすのか、いまだ十分に解明されていない。アンザボレゴ砂漠州立公園では植物の長期的なモニタリングが実施されており、研究チームでは、年月の経過につれて植生で何が起こるのか、注視していく方針だ。